紫キャベツを使った実験は、もう一つありました。
魔女はキッチンでおもむろに中華麺を炒め始めました。
そこに、先ほど細かく切った紫キャベツをいれて、一緒に炒めました。
まぁ、紫色に麺が変わるのを見せたいのかな?
と思ったら、違いました!
しばらく麺と紫キャベツを炒めていると・・・
ちょっと色が薄いですが緑色っぽくなったのです。
これも、どうやらリトマス試験紙と同じ原理だそうです。
どうやら中華麺には「かんすい」という添加物が含まれています。
この「かんすい」というのは中華麺やなどの製造に使われるアルカリ塩水溶液で小麦粉に混ぜることで柔らかさや弾力性をもたせる働きがあるようです。
そして紫キャベツに含まれる「アントシアニン」は中性です。
赤色のリトマス紙が青色に変化したらアルカリ性でしたね。
まとめると・・・
紫キャベツから出た「アントシアニン」の中性の色素が中華麺に含まれるアルカリ性「かんすい」により緑色(青色)になったというわけです。
そして、さらに緑色の麺にレモンをかけると緑色の麺からキレイなピンク色に変わります。
子ども達は中華麺の色が変わるのを興味深々に見ていると思いきや、
「先生、これ食べれるの!?」
と、どうやら色の変化より食べることに興味を持っているようです(笑)
魔女は緑色の中華麺に少し味付けして子どもたちに少しづつ配って、
子ども達は嬉しそうに食べていました・・・。
かたや中華麺を食べることに興味を示していると思いきた、ある男子は・・・
ひたすらレモンに色が変わった水をスポイトでかけていました。
さすがに集中力もきれたのかな?と思って子ども達の様子を見ていましたが。
どうやら今年の年長さんは例年に比べると少し雰囲気というか、良い意味で変わっているのです。
例えば、3月に年長さんが「お別れ散歩」に上野の国立科学博物館に毎年行きます。
そこには動物、魚、植物、恐竜・・・といった数多くの展示があり、一日かけて見るくらいの量の展示があります。
だいたいの子どもは恐竜の化石や動物の剥製に興味を示しますが・・・
「あ!ミカヅキモだ!!」
今年の年長さんは「藻」に関心を抱いているようです(笑)
あとは菌を調べることができるスペースではある男の子は
「溶連菌はあるかな?」と調べたり、研究肌の子どもが多くいます。
毎年同行している塾長も普段は興味を示さない場所に興味を示しているので驚いたようです。
卒園式でも卒園証書をもらったあとに将来の夢を発表するのですが、多くの男の子は
「科学者」「研究者」と答えていました。
毎年カラーが違う学年というのは本当に面白いです。
だからこそ「個性」というのをしっかり伸ばしてあげたいと思います。
(報告者 山下祐)
料理は「科学」ということがとてもよく分かりました。料理をしながら人は自然と科学体験をしているのですね。ということはいかに科学が遠いものではなく、人々の身近にあるものなのだということを感じました。「科学者」「研究者」という夢を持つ子が多かったというのもおもしろいですね。『毎年カラーが違う学年というのは本当に面白いです。だからこそ「個性」というのをしっかり伸ばしてあげたいと思います』という最後の言葉も印象に残りました。「◯◯だからいい」ということはありませんね。それぞれの子が興味を持っているものを伸ばしてあげることで、その先をもっと楽しむことができるような手助けをしていきたいですね。
「卒園式でも卒園証書をもらったあとに将来の夢を発表するのですが、多くの男の子は「科学者」「研究者」と答えていました。」保育の成果が現れるようですね。研究することの面白さ、好奇心、不思議を追いかけることの面白さを仕事にできるなんて、本当に最高です。子どもの頃そんな夢を描いて大人になり、たとえ違う職種を選んだとしてもその好奇心、探究心がしっかりとその土台となって働きをすることになるでしょう。保育園で育まれたことが大人になっても活きていく、保育の重要性を再認識する思いがしました。