「では今から講座を始めますが、皆さん机の上からペンを片付けて下さい」
と、言ってから年間臥竜塾の第7回目の講座を始めました。 今回は「海外の保育」ということでドイツ、ミュンヘンを中心に紹介させていただきました。
まずは最近、塾長の講演の中でも話される保育の原理・原則を言いました。
・子どもの自主体的な活動
・子どもの自発的は活動
・一人一人の特性に応じる
以上の三つは保育の原理原則であり、世界で行われている保育、有名なところでいくと5カリキュラムの「レッジョ・エミリア」「テファリキ」「ハイスコープ」「 SICS」「スウェーデンの保育カリキュラム」、他にも「モンテッソリー」「フレーベル」「シュタイナー」など全ての保育に共通しているモノは、上に書いてある3つの原理・原則です。ですから「見守る保育」が特別な保育をしている訳でなく、世界で見ると普遍的な考え方です。しかし見守る保育が唯一、他のカリキュラムと違うのは乳児保育ではないでしょうか。世界は乳児保育に対してそこまで取り組んではいないと聞きます。要は日本のような保育園はないのです。しかしドイツはキンダークリッペという0~2歳を預かる施設や、0~6歳まで預かるコープという施設があります。しかし見守る保育のように乳児からの関わりという考えはありません。ですので、世界に発信するには「乳児からの人同士の関わり」を中心とした「見守る保育」を提案し、指針を作成しようと塾長は考えています。
今回の講座で皆さんに伝えたかった事は、我々が行っている「見守る保育」というのは日本で見ると珍しいかもしれませんが、世界で見ればそんなに珍しくもなく、むしろ進んでいる方向は世界と同じです。日本のスタンダード化、そして世界に提案しようとしている為、むしろ最新であり、実践は間違っていないということを知ってもらいたかったのです。
と色々と書きましたが、もう一つの裏のテーマがあります。それは新宿せいが保育園の研修方法を知ってもらいたかったのです。と言うのも、見学者からの質問や相談などで研修のあり方について質問をされますが、新宿せいが保育園はあまり研修をたくさんしているわけでもなく、塾長の話しを皆で月に一回に聞いたりするわけでもなく・・・あまり言うと自虐ネタになるのでこの辺で (笑)
ただ唯一言えるのは、楽しく研修をしています。ですので、今回は参加者の皆様に実際に新宿せいが保育園で行っている研修方法を体験してもらおうと計画しました。おそらく塾長の講演などでご存知の方もいると思いますが、先日、ドイツ研修から帰ってきたので、そろそろ新宿せいが保育園でも研修に行った職員に報告をしてもらおうと思っています。まず最低限、用意するのは・・・。
・ドイツビール
・ドイツミュンヘンのソーセージ
・ザワークラウト(キャベツの酢漬け)
・プレッツェル
の4つです。と言うのも
ドイツを知るには、ドイツを体験しないと分からない」というのが塾長の理論です。
そして職員でドイツビールを片手に乾杯してから報告のスタートです。
ですから、今回の講座の最初に「ペンを片付けて下さい」と言ったのです。
そして…
「本来はドイツビールで乾杯したいところですが…さすがに一応は研修なのでノンアルコールで(笑)ですので今回、用意したのはスプライトです。スプライトはどうやらドイツが発祥らしいです。では皆さん!お互いにグラスに飲み物を注いで下さい!準備はいいですか!? ちなみにドイツの乾杯の掛け声はプローストです。そしてグラスは底の厚いグラスで、コップの底と底をぶつけます!では!プローストッ!!」
そして、講座が始まりました!!
ちなみに、テーブルの装飾は「おもてなし」です。と言うのもドイツ研修で見学先に行くと、必ず「おもてなし」を受けます。ジュース、ケーキ、お菓子、時にはビールも出たそうです(笑)そしてセンスの良い装飾が飾ってあります。今回はドイツ研修ということで、実際にドイツのおもてなしも更に皆さんに体験してもらいたいと思ったので、テーブルも飾ってみました。
そのお陰か、終始雰囲気もよく後半のグループディスカッションも各グループ盛り上がっていました。テーマは「日本の良さとは何だろう?」です。
今回、ドイツミュンヘンで行われている保育を中心に紹介しました。実際に写真を見ても参考になる部分も多く、本当に学びが多いです。しか、全てドイツが良いわけでなく、日本の良さも必ずあるのではないか?ということで、保育に限定してしまうと少し難しいので、保育に限らず、日常生活など全てにおいて世界に誇れる、日本の良さを皆で考えてみました。おそらく、出てきた日本の良さはきっと保育にも役に立つと思ったからです。
ちょうど、今年のテーマが「伝統を見直そう」です。装飾はもちろん、昔の人たちの生活に注目してみると、すぐにでも実践できるものがあります。最近、私が個人的にはまっているのは「炭」です。これもカグヤの野見山社長からご指南いただき、炭の力を聞きました。すぐに染まってしまう私は、炭の魅力に取り憑かれ、カグヤの社員の方から炭をたくさん分けていただき、ご飯を炊くときやお風呂に入れたり、冷蔵庫の消臭に使っています。また保育園では細かく砕いて植物に入れたり、トイレの消臭、そして来客用の靴箱に入れています。これも立派な伝統であり、日本の良さだと思います。
ちょっと話がずれてしまいましたね。
私自身はドイツ研修に今から約6年前に参加しました。その6年分の写真を見ましたが、統一カリキュラム「バイエルン」に基づいた保育実践は素晴らしいと改めて思いました。どの施設も独自性がありますが、根本となる理念はぶれていません。また中山副園長からバイエルンに関する資料を頂きました。よく塾長の講演でもドイツのバイエルンの話を聞きますが、実際にどのような事が書かれているのか気になっていました。今回のいただいた資料は訪問の際に必ず通訳として同行してくださるベルガーゆきこさんという日本人の方が訳したものと聞きました。書かれてある内容がとても面白かったので、少し紹介していきたいと思います。(報告者 山下祐)
研修や講座等、初めに肩の力を抜く事で、普段以上の柔軟さを持って取り組もうという姿勢になっていきそうです。おもてなしも加え、楽しく学ぼうとする雰囲気が伝わってきます。また、「炭」という物への注目も、伝統を見直す一つの切り口として面白いですね。現在、練習している「南京玉すだれ」にも、「炭焼き小屋」という技が存在します。伝統芸能の中にも使われているくらい「炭」というものの歴史は長いのですね。
日本の良さは何なだろうと考えるとありました。ドイツに行かせていただき、このような視点で保育や日本のことを考えていなかったなと反省させられました。ついつい「ドイツは、ドイツは」になってしまい、その部分が欠けていました。海外の保育を見ることができたからこそできる日本の良さを考えていきたいなと思いました。体験も忘れてはいけませんね。私はついつい頭ばかり大きくなってしまいがちなので、そんな時こそ体験から学ぶという姿勢を忘れてはいけませんね。