食べる機能 1

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先日、僕の働く保育園で園内研修がありました。そこで子どもたちの食事の話題が出てきました。うちの保育園はまだ、職員の先生たちと子どもたちが一緒に食べることが出来ないでいます。そこで問題提起を含めて、新宿せいが保育園でもあるように、子どもと大人が一緒に食べることで子どもたちにどういった影響があり、また、子どもたちの食事の発達といったものがどう進んでいくのかというのを改めて考えていくことにしました。

調べていくと、食事の発達というものがありました。私が見たのは「ベビーフードの和光堂」のHP「赤ちゃん通信」においてで、そこでは日本歯科大学付属病院准教授の田村文誉さんの解説があり、そこに発達の原則が書かれていました。食べる機能の発達にはいくつかの原則があると田村さんはいいます。

 

その一つ目は「個体(子ども本人)と環境の相互作用」とあります。子ども本人の発達する力(内部からの発達力)と、そして子どもを取り巻く周囲からの適切な刺激(よい環境)があります。それらが相互に働き合うことにより、機能の発達が促されるのです。というのが始めにありました。これは保育をする上で、必ず考える内容ですね。なによりも、この部分に子どもと食事との発達の中心的なものがあるように思います。「子どもと環境の相互作用」というのは食事だけにかかわらず、子どもたちの生活や活動において、とても重要な部分です。周りにいる教師や大人、友だちなど(人的環境)があることはモデルになります。そして、食べたいと思える環境、それはおいしそうな食べ物というだけではなく、楽しい雰囲気なども子どもたちの意欲に繋がることだと思います。その食べている様子や環境が子どもたちにとっての食べたいという心情になり、食べる意欲になり、それが食べるという態度に繋がっていきます。

 

2つ目が「発達には適切な時期がある」です。もちろん適切な時期を過ぎても、摂食・嚥下機能の発達はなされていきます。しかしながら、機能が発達する最も活発な時期は生まれてから2才頃までとされており、この時期に適切な働きかけをすることが大切になります。ここでは子どもたちの食事の機能のことがいわれています。摂食の方法や嚥下の機能自体は2才頃までであり、ここでの適切な働きかけが必要なのですね。たとえば、子どもの口に入れる大きさの話がありますが、以前新宿せいが保育園での食事の様子を見学していると「かじりとり」などの大切さを話していました。私のいる保育園の古くからいる先生に話を聞いてみると、以前は「子どもたちの食べやすい大きさに切って、食べさせる」というのが当たり前だったようです。その理由は「のどにつめないようにする」ということと「そうして、大きさを大人が調整することで、子どもたちが慣れることによって大きさが分るようになる」ということでした。一方、新宿せいが保育園では「かじり取り」をして、子どもたちが自分の経験の中から、その大きさをかじり取りながら調節したり、噛むことを覚えたりするといっています。この二つを比べても分るとおり、子どもの機能を経験からするのか、大人の意識として環境を用意するのか、その違いが見えます。当然、私は子どもの経験から分ることや気づくことのほうがより深い学びになると考えていますので、大人が調節しても、逆に子どもの大きさを調整する力に果たしてなったのだろうかと思いました。

 

というように、この先生によると明確にその発達の原則が6つ書かれていました。内容だけを見ていると、なるほどと思うところが多くあります。もう一度自分自身も改めて勉強していくことを含めて、その食べる機能の原則を紹介していこうと思います。

(投稿者 邨橋智樹)

食べる機能 1」への2件のフィードバック

  1. 小さい子どもたちの食事を見ていると初めの頃は自分にとっては大きなおかずや量の多いご飯を口にもっていくことがありますが、飲み込む際にはやはり自分が飲み込めるだけの大き、量で嚥下しているように見えます。そして、徐々に自分にあった大きさ、量でかじりとっていくということを覚えるような感じでしょうか。確かに、大きなものになると詰まらせないかと心配になる気持ちは分かります。ですが、自分にちょうどいい大きさを調整する、かじりとるという経験もまた大切ですね。また、保育園での食事の雰囲気というのは大切にしていきたいですね。よく保育園での思い出はということで、嫌な記憶に食事をあげる人がおられますが、子どもたちには楽しい雰囲気で、食べることを楽しみながら時間を過ごしてほしいなと思います。大人もそうでありたいですね。それがまず何よりの食育でもあるのかもしれませんね。

  2.  大変勉強になります。保育者としても、そして子どもを育てる親として、食事に関する適切な知識を頭の中に入れて実践していくことはとても大切なことだと思います。
     それと同時に、子どものかじりとり一つにしても、なんだか子どもって自分の力でなんでもできてしまうものなのだなぁと改めて思います。僕は変わり者なので、例えばある食品会社やレストランチェーン店で異物混入のニュースが流れたりすると、逆にその会社の商品は安全になるだろうと思って、他の会社より少し贔屓目に見てしまいます。その被害によって、今まで以上に安全にならざるを得ないからです。それと同じようなもので、やたらとテレビや世の中の風潮に流されて子どもの自由を大人がやたらと心配して奪ってしまってはいませんでしょうか。子どもの力って、僕らが思っているよりはるかにすごいということがわかってきています。保育者はある種の刷り込みから脱却する時期にきているということをなんだか感じたりしてしまいます。

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