2016年度塾セミナースタート! その1

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4月12日は、去年から始まった臥竜塾年間講座の1回目の講座が行われました。いろんなところで書かれていますが、今年はワークショップ形式で講座を行います。4月は、私と山下先生で、お茶と落雁作りの講座となりました。

まず、初回ということもあり、なぜワークショップ形式で行うのかということを、私が話をさせてもらいました。

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それには、最初に幼児教育のカリキュラムを知っておく必要があります。幼児教育のカリキュラムは、主に保育所保育指針・幼稚園教育要領ですね。また、小学校以降のカリキュラムと比較をすると分かりやすいので、小学校学習指導要領も例に出し、比較することにしました。

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小学校以降は、「教科カリキュラム」と言われ、教科ごとにカリキュラムが設定されています。また、幼児教育は「経験カリキュラム」と言われ、経験を通したカリキュラムで、保育園・幼稚園では、様々な経験のできる環境を用意する必要があります。このカリキュラムの違いは、それぞれの原理原則を見れば、一目瞭然です。まず、小学校の原理原則である学習指導要領では、文末が「〜ができるようにする」となっています。今回は、小学1〜4学年の算数を見ていきました。3、4学年の目標を見ると、すべての文末が「〜できるようにする」となっているのが分かります。その学年でこれらのことができるようにしなければならないのですね。

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それに比べて、幼児教育の原理原則である、保育所保育指針を見ていきましょう。指針の第3章保育の内容の中にある5領域を見ると、「健康」領域のねらいには、「明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう。」とか、「環境」領域のねらいには、「〜興味関心を持つ」や「〜感覚を豊かにする」という文末になっています。また、「言葉」領域や「表現」領域には、「〜楽しさを味わう。」など「〜喜びを味わう」「〜楽しむ」という文末が多いですね。つまり、小学校のようにその学年で、できるようになってる必要はなくて、幼児教育では味わったり、関心を持ったり、楽しむことができる環境を用意する必要があるということですね。

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しかし、ここで注目しておきたいことがもう1つあります。それは、小学校学習指導要領の第1学年と第2学年の内容です。早速見ていきましょう。

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1学年も2学年もさっきと同じように文末は、「〜できるようにする」が多いです。しかし、すべての項目の最初に「具体物を用いた活動などを通して」という文言があります。これは、2学年まで、つまり8歳までは、教科カリキュラムだけではなく、経験カリキュラムも含まれているのです。また、別の文末も見ると分かりやすいのですが、「感覚を豊かにする」という文末があります。まさに、経験カリキュラムと文末が一緒ですね。なぜ、8歳(第2学年)までは、経験カリキュラムも含まれているのか。藤森先生がよく講演でおっしゃるのは、脳の臨界期が8歳くらいまでだからだそうです。だから、ドイツでは、ステイと言って、小学校に入学するのを1、2年遅らすのでしょうね。正直、脳の臨界期についてまだちゃんと理解できていないので、ここでは詳しく書けません。(笑)

では、幼児教育のカリキュラムが分かったところで、保育園ではどんなことをやっていくべきなのか考えていかなければなりません。保育園でやることは、子どもたちが様々な経験ができるように、環境を用意していくことですね。ここでいう環境は、モノだけではなく、ヒトのことも言います。ヒトの環境というのは、モデルとなることだと思います。道具だけあっても、それを上手に使えるヒトが必要な時もあります。逆に、子どもが不思議がっているときに、知っていても一緒に不思議がることも必要なときがあるかもしれません。ヒトという環境から、子どもたちは様々な経験ができます。

そして、その経験が、小学校以降の学びの基礎となっていくのです。保育園で、小学校のような教育を行うと、小学校以降に授業で習っても、「これ知ってる」「あーあれね。」というように、学びがそこで終わることがあります。しかし、保育園で様々な経験をして、どうなっているのか不思議がったり、発見を楽しむ子は、小学校以降に授業を受けて、不思議がったり、関心を持つことで、次の学ぶ意欲が生まれます。これが学びの基礎となっているのです。

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長くなりましたが、これから今年のセミナーがワークショップ形式となった理由の本題に入っていきます。経験が大事だと言いましたが、まずは保育者である私たちが様々な経験をしている必要もあると思います。セミナーでは新宿せいが保育園で実践しているものを紹介する予定です。また、この実践が指針のこの部分に当てはまるというのも含めて紹介するつもりです。様々な経験ができるように環境を用意することが大事と言っても、指針に当てはまらなければ、趣味で終わってしまいます。しかし、逆に言えば、趣味でも指針に当てはまれば保育と言えるのです。

この実践を必ずしも保育の正解ではありません。新宿せいが保育園で実践しているというだけですので、保育の方法の1つとして捉えていただきたいと思っています。しかし、そうは言っても材料などを持ち帰っていただくので、1度は実践していただいて、次回のセミナーの際に実践したときの子どもの様子などを報告していただけたらとも思っています。

また、新宿せいが保育園では、保育のヒントを探す方法として、ブラヘイジというものがあります。藤森先生と東京の下町をぶらりとしながら、保育のヒントを探すものです。これを6月のセミナーで行い、ヒントの探し方も体験していただく予定です。

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続く

西村 宗玲

2016年度塾セミナースタート! その1」への1件のフィードバック

  1. 今回のセミナーがワークショップ型であるということの意味がよく分かりました!
    「経験が大事だと言いましたが、まずは保育者である私たちが様々な経験をしている必要もあると思います」とありました。私たちが経験する多くのことは保育という仕事に繋がっていきますね。しかし、「指針に当てはまらなければ、趣味で終わってしまいます」とあるようにその部分の見極めが大切になってくるのですね。それがメリハリでもあるのかもしれませんね。そして、「逆に言えば、趣味でも指針に当てはまれば保育と言えるのです」という言葉も印象的でした。そういった視点を持って楽しみながら保育を行なっていく姿勢が大切なのかもしれませんね。

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