簡単に感想を言い合う中、塾頭が口を開きました。
「40年前、異年齢、インクルージョンに取り組み始めた。それを信じてやってきた部分が変わらなくてすごい。」
本当にそうですね。これぞまさに信念と呼べるものだと思います。
しかし…。一同感じている何か。それがあるが為に会話が微妙に弾みません。
それを察して藤森先生が、言葉にして下さいました。
「立場によって人は仕事が異なるはず。職員が育つのだろうか。」
現在園長である野島氏。保育士としての力量は本当に素晴らしいと感じます。
ただ、園長という立場としての振る舞い、姿勢、態度、それらが藤森先生のそれと全く異なるが為に、一同の困惑が生まれたのだと思います。
「世の中の園長は思わず職員にしても子どもにしても、やっていることに口出しをしたくなってしまうよね。そうではなくて、やってもらうように仕向けるのが園長としてのプロだと思う。忍耐強くなくては。」
心に響きます。
更に、野島氏の保育、その姿勢を賞賛した上で、
「ただ、多くの日本の異年齢保育に見られるように、年長に面倒を見させすぎてはいないだろうか。」
3歳、4歳ともなると自分で自分のことを何でもできるようになります。それなので新宿せいが保育園では、お手伝い保育の時間は0歳児クラス、1歳児クラス、2歳児クラスに行きます。012なら一方的にやってもらう方になれるからです。
その、いわば乳児クラスとの関わりが乳児にとっても大切なのは言わずもがなのところ。その部分には今回スポットが当たらなかった為、乳児教育の大切さが強調されている昨今、野島氏はどのように取り組まれているのか、とても興味が湧きました。
しかし総じてやはり野島氏の教育熱心な態度はやはり感嘆すべきものがありますね。野島氏も仰っていた通り、やはり子どもの中で子どもは育つもの。新宿せいが保育園で言えば、例えば大人が何も言わなくても年長クラスが子ども集団の中でいいリーダーとなっていると感じる場面がたくさんあります。藤森先生から最後に、
「子ども集団の中の子どものプロフェッショナルを見てみたいね。」
このような提案がなされ、一同確かに、と頷きました。
日本の保育は独自性が認められているが故に、結果として多様な保育形態が生まれています。様々な方法があるにせよ、また「子育てに正解はない」というある意味では心の拠り所のような言葉があるにせよ、ただその多様さを享受しながらも多くの園がトップダウン型式で保育を行う部分に共通点があることに、時に不思議さを感じてしまいます。
子どもの中で子どもは育つ。その言葉通り、子どもの中で子どもは育ちます。
大人にできることはその育ちを温かく見守ること。そして、見守れる環境をつくること。やはりここに辿り着くのではないかと思うのですがどうでしょうか。
仕事観、保育観を見直すとてもいい機会をいただいたこの度の臥竜塾でした。
(報告者 加藤恭平)
「世の中の園長は思わず職員にしても子どもにしても、やっていることに口出しをしたくなってしまうよね。そうではなくて、やってもらうように仕向けるのが園長としてのプロだと思う。忍耐強くなくては。」
良い言葉ですね。子どもを育てるにも忍耐が必要で、まさに見守ることが大切になりますね。そんな保育士に僕もなりたいです。
佐野さんへ
コメントいただきありがとうございます!
本当にそうですね。忍耐強く、子どもの育ちを見守る。それが子ども、大人、職員、立場が変わるにつれ、見守る人、見守りたい人が増えていくものなのかもわかりませんね。自分の子どもが生まれ、家族が増えると尚更そんな気持ちになることでしょうね。
藤森先生の言葉を胸に、今日も保育者としてお互い向上していきましょう!