8月16日(火)の生臥竜塾
今回は塾長宅ではなく、ギビングツリーの事務所で行いました。
メニューはそうめん・天ぷらの盛り合わせ・焼きナスです。
塾頭の山下氏からのお土産で、さす(カジキマグロ)の昆布締めと、白海老の昆布締めを頂きました!デザートには、加藤氏からのお土産でバウムクーヘンも頂きました!
さっそく、山下氏から富山に帰省した際に訪れた「富山県美術館」の話を伺いました。そこには、「オノマトペの屋上」というものがあり、子どもたちが遊ぶ遊具を「オノマトペ」で表現している魅力的な庭があるそうです。それを手がけたグラフィックデザイナーの佐藤卓氏は、「楽しい遊具をまず作るという発想ではなく、楽しい擬音語・擬態語を思い浮かべてから遊具を考えるというアプローチです。」と表現しています。「オノマトペ」という、遊具と懸け離れたものとを結びつけるというのは面白いですね。新しいものや試みというのは、既存の何かと何かを結びつけたものなのでしょうか。そんなことも思い浮かびました。
次に塾長から、確立させていきたい見守る保育の三本柱についての話がありました。
見守る保育三本柱
- ゾーン保育
- 異年齢(子ども集団の関係性)
- 乳児の社会性
新聞に書かれていた、OECDの結果をもとに様々な区がそれぞれの保育内容を展開し始めていることについて、塾長の意見を聞きました。乳児保育については、研究が進むにつれ愛着形成の仕方や子どもを見る職員の距離間など様々な方法がある中、目先ではない子どもの発達にとって何が良いのかということを話してくれました。
- 人類の進化上、母のみという育児はない
- 「特定の」という意味
- 子どもは距離感を表現する
- 先回りの危険性
- 脳への刺激
などが、キーワードでした。
そして、異年齢についても再確認できました。
まず前提には、発達の違う子を一緒にしましょうではなく、一人一人の発達に合わせるために「異年齢保育」があるということ。発達をどこに合わせればいいのか、3歳児は5歳児からのプレッシャーを感じないか、5歳児は3歳児と関わることで幼稚にならないかなどの問い合わせが多い中、4月から3月という大きな幅の中、年齢別保育は発達に合ったことができるのか、見て真似ることが最も高い学習方法であり、発達の違う子を見ることによって成長するのではないか、年下の子と関わることで調整能力が養われるのではないかと塾長は言います。
最近、3・4・5歳児クラスで「将棋」ブームです。もちろん、5歳児は4歳児とも対局しています。そんな中、5歳児は4歳児の能力を見て、「じゃあ、俺は角なしでいいや」など自分にハンデを生み出して課しています。それは、どちらもが楽しく将棋を指す方法を探っている過程であり、相手との調整であり、新しいルール構築というクリエイティブな作業であり、まさに調整能力であるわけです。
全ては「子どもに選択させる」ことから始まります。ゾーン遊びもその一つです。始めは自分の能力とは異なるところを選択してしまっても、その経験から次第に「自分の力」を読み取ることができるようになります。その経験の幅は、異年齢であるからこそ大きくて多様なのだと。
塾長は言います。そもそも「社会」は異年齢であると。
昨今の、「ストレス社会」という要因の一つには“年齢が違う人との関係性”があるのではないか。乳幼児期から、異年齢という環境に身を置くことで相手との調整能力を養い、年齢的差別意識も持たないのではないか。若いというだけで未熟だと見てしまう、年上だから頭が硬いという社会ではなく、その人個人の能力(発達)を見つめていく社会(環境)が大切であり、それが「異年齢保育」であると。あくまでも、一人一人の発達に合わせるための「異年齢保育」です。
塾長は言います。そもそも「社会」は異年齢であると。
(報告者:小松崎高司)