今回の塾は、新宿せいが子ども園の本園である、省我保育園の起工式の話から始まりました。私と森口先生が参加させて頂いた起工式ですが、神社の神主さんがいらっしゃって祈祷をするという儀式がありました。早速そのモノマネを森口先生が披露し、爆笑をとると、神様の話から「古事記」に載っている神話の話題へと。塾長が学生の頃は古事記の内容を授業で習うことは当たり前だったようですが、最近はその辺を教えなくなったようです。しかし、授業で習わなくても、昔から伝わる神話は歌で覚えたと塾長は言います。実際に、因幡の白兎の歌を聴きましたが、ストーリーが歌になっていました。一寸法師や浦島太郎などの昔話は歌になっていますね。そのような教養を知っていると、その地に行った際の感動が増しますね。日本神話に関しての知識は、島根県出身の森口先生はよくご存知でした。現代の映画でも、そのような神話からアイデアをもらったような話がとても多いですよね。
そんな森口先生が10月26、27日に行った2015年ドイツツアーの同窓会@横浜の報告をしてくれました。当時、森口先生は新宿せいがではなく、島根県のさくら保育園の職員として参加したドイツツアーでした。
どの同窓会も、同窓会を単独でやるということは少なく、それに合わせて、公開保育&講演会などを行うのが恒例となっています。そして今回も、同窓会だけではなく、ドイツの子どもの環境用品メーカーエルフデザインさん(http://www.elfe-design.com)が主催する保育環境セミナーと、GT関東(神奈川大会)を同時に開催したそうです。日程としては、26日がエルフデザインさんのセミナーと夜に同窓会、27日がGT関東という日程だったそうです。26日は室内環境がテーマだったということで、「5M」のパワポを使用して講演だったそうです。5Mとは、もったいない・もてなし・めぐる・めりはり・むすびという5つのMから始まる日本の精神から、保育環境を考えたものです。この中の、もったいない・もてなしなどは日本語のまま世界共通語となっていますが、今後は、「保育」も日本語のまま世界共通語としていきたいという考えが塾長にはあるそうです。0.1.2歳の保育の本を英語に翻訳する際に、ふと保育園をどのように訳そうか考えたそうです。ナーサリースクール、デイケアセンターなど様々な訳語がありますが、今回出版される英語版では、「Hoiku center」、また保育士のことを「Hoiku teacher」と訳しているそうです。保育園は、親を保って、母親の代わりに育てたことが始まりなので、そこで働く人を保母さんと言っていました。しかし、現在の理論では、白紙論ではなく、子供の生まれつき持っているものを保ち育むことで保育なのです。それを日本から発信していこうということで、保育をそのまま訳したそうです。もったいないやもてなしのように、世界語にしていきたいですね。
また、ここ最近の塾のトレンドである白紙論に絡めて、赤ちゃんの模倣の話題へ。赤ちゃんがよく真似をするということは、普段保育をしているとよく目にする光景だと思います。心理学者であるピアジェは、模倣を学習していると言ったそうですが、現在の研究では模倣をすることで学習していると言われています。そして、模倣をするということは、そのモデルがいないと模倣をすることができません。だからこそ、子供集団が必要で、さらには発達が違う子がその集団に必要なのです。東京のある区では、年齢別と言うより学年別に部屋を分けなさいという指導をされるそうです。1学年で最大12ヶ月の発達の差があるとは言え、その刺激には限界があります。やはり2年3年の発達の差のある子が一緒にいることに大きな意味があるように感じます。塾長は、授業のような教えるためであれば、同年齢の方が確かにいいが、生活経験から学ぶ場合は、やはり異年齢の方が学ぶ機会が多いのではないかとおっしゃいます。同年齢にしなさいという指導は、つまり乳幼児期に教え込めと言っているような指導でもありますよね。真似をするという行為は、人間にしかできない行為であり、学ぶために大切な行為ですので、その経験は大切にしていきたいですね。
これらのように、白紙論が前提にあることで、子供には指導しなければならないという考えが定着していましたが、最近の保育指針では「指導」という言葉はなくなり、「援助」という言葉に書き換えられています。それは、やはり保育は子ども主体であるという考えからでしょう。しかし、援助という言葉を使うことで、子どもの放任や過干渉へと向かう恐れがあります。もちろん、そのようなニュアンスで援助という言葉は使っていないはずです。そこで塾長が考えた言葉が「応答的援助」です。先回って援助はせず、援助が必要な時には子どもが援助を求めてくるはずなので、そのときに応えてあげるという意味です。この言葉の中に、見守る三省の要素が全て入っている、保育士の対応としてとても分かりやすい言葉のように感じます。
つくづく思うのは、子どもは白紙で生まれてこないとか、応答的援助など新しいような言葉や考えかたが最近出てきますが、実は塾長は昔からずっと変わらず言ってきたことに繋がるのです。何十年も前から、それを変わらず言ってきた塾長の考えはすごいなと改めて思います。おそらく時代が変わっても、大切にしなければならないものなのでしょう。
来週は塾長シンガポール〜上海出張のため、お休みです。
その報告が楽しみですね!
西村 宗玲
白紙論、有能論、そして応答的援助に子ども集団の大切さ。現在山東省へ出向かれている先生の思いは世界に先ず届き、その後日本へと届くような、そういう時間の経過があるのかもわかりませんが、日本に届くその時を心待ちにしています。それは日本の保育の夜明けであり、保育維新であると思います。その時代の過渡期に立ち会おうとしていることを改めて省みながら、日々の学びを積み重ねていきたいと思います。