保育に使っている「りん」を紹介しましたが、この「りん」は、家庭では仏壇の中に小さいものがどの家庭にもあるものですし、お寺に行くと、大きな「りん」が置いてありますので、私たちには意外となじみのあるものです。園では、片付けの合図に使いますが、もともと仏具として使うときにも、勤行の際に、経典などの読誦の開始・区切り・終了の合図として打つことが普通です。ですから、お片付けの合図として使うことは間違っていないですね。そして、それは、「お集まり」の始めの合図でもあります。
こんな逸話が残っています。よく、足の速いことを「韋駄天走り(いだてんはしり)」という事があります。これは、足の速いことを指しますが、俗説であるという話もありますが、一般的には韋駄天は快足で有名です。「はい、これから○○で読経が始まりますよ!」 という合図で「りん」をチン、チーンと2回ならすと、この音を聞いた韋駄天が、足が速いことを活かして、仏国土を駆け巡り、関係諸仏に 「○○に集合してください!」 と伝え歩きます。すると、関係諸仏がそこに集まり読経を開始します。その読経が終わると、こんどは、「はい、これで終了します」という合図にチーンと1回打ち鳴らして、諸仏は仏国土に戻っていったという説があるようです。
この私たちにとってはなじみのある「りん」を、ドイツに行くと、小学校の教卓の上、幼児施設には教材として置かれているのを見たときにはびっくりしました。
そして、ドイツの園長先生が、自慢げにそれを鳴らして見せて、子どもたちがその余韻を楽しんだり、その振動を感じたりと保育に使うことを説明しました。私たちは、それを見て、「これは日本ではよく見かけるものなのに!」と思ったものですが、どうもドイツでは、保育教材のようです。
今年、ドイツに行った時に、その「りん」の教材としての使い方の本を保育室で見つけました。そこで、ドイツの本屋で注文して、帰りまでに取り寄せ持って帰りました。そこには、いろいろな使い方をする写真がたくさん掲載されていました。ドイツ語は読めませんが、写真から使い方を知ることはできます。(藤森)
「勤行の際に、経典などの読誦の開始・区切り・終了の合図として打つことが普通です」とありました。りんが鳴るのを何度か聞いたことがありますが、開始や区切り、終了の合図で鳴らされていたのですね。ただ鳴るのをそのまま聞いていましたが、そのような意味があったのですね。そして、ドイツにも同じものがあるだななんてさらに驚きです。使い方もいろいろな工夫をされているのですね。写真のような大きなものもあるのですね。子どもの頃に祖母の家にあったおりんを行く度に鳴らしていたのを思い出しました。やみくもに鳴らして怒られていましたが、合図なんてことは考えてもいませんでした。
まるで『臥竜塾ブログ』の藤森先生のような文章を書く人がいるんだなぁと思って、最後まで読んでみて驚きました。藤森先生の報告なのですね(笑)写真の載せ方といい、改めて、参考にさせていただきます。
おりんの使い方、いいですね。水を張ったあそびなど、科学だと思います。多様性があるものを多様的に使うことはもちろんですが、その物から引き出して、多様的なものへと導いていくのは人間の感性だと思います。これはこんな風にも使えるのではないか、とアイディアをわくわくしながら出していきたいと思いました。