everyday, marshmallow day!!! EPISODE FINAL

 

「おかわりくーだーさい。」

「おかわりくーだーさい。」

 

早速何人かの子がおかわりに来ました。面白かったのがその殆どがわいわい組(3歳児クラス)の子でした

年齢別で考えることではないとは思いながら、やはり幼い子には我慢することや、先の見通しを持つこと、また、保育者が大勢の前で言ったことを理解することというのは、簡単なことではないのかもしれません。

そんな中、面白かったのがらんらん組(4歳児クラス)の子達で、

二人で手遊びを始めました。

二人で手遊びを始めました。

 

「もうすぐ麺が来るんだよー。」このボーダーの男の子はおかわりに来る子に話しかけ、自分の気持ちを逸らしていました。

「もうすぐ麺が来るんだよー。」このボーダーの男の子はおかわりに来る子に話しかけ、自分の気持ちを逸らしていました。

11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2014年5月6日『動機』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝ミシェルが行った「マシュマロ実験」はいろいろと面白い結果が出ました。(中略)この実験で最良の結果を出した子どもたちは、気を逸らす方法を独自に考え出していたのです。一部の子どもは実験者が戻ってくるのを待つあいだ、ひとりでしゃべったり歌ったりしていたのです。

 私の園でも、いろいろな場面で子どもたちは「待つ体験」をします。子どもたちは、待つことができるように様々なことを考えます。友達とおしゃべりをする、手遊びをするなどです。〟

まさにブログに書かれている通りで、子ども達は独自に気を逸らす方法を考え出していました。

そして調理の先生登場!

そして調理の先生登場!

 

〝待つ〟ことを見事達成した子ども達です。

〝待つ〟ことを見事達成した子ども達です。 

『臥竜塾』ブログ2016年8月13日『運命か?』の中にはこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝ミシェルは、子どもでも大人でも自制心を育むことは可能で、前頭前皮質を意図的に使ってクールシステムを活性化させ、ホットシステムを調整できると言っているのです。

 彼は、これを可能にするスキルがあれば、刺激にコントロールされることを免れられるので、その時々の衝動やプレッシャーの言いなりになる代わりに、自制を達成し、真の選択ができるのだというのです。

 彼は、現代科学が与えてくれる主要な教訓を挙げています。それは、私たちの脳の構造は、DNAと子宮内での発育によってあらかじめ運命付けられているのではなく、以前に思われていたよりも順応性があり、私たちは積極的に関与し、自らの人生をどう生きるかによって自分の運命を形作られるということを挙げています。〟

私たちは〝待つ〟ことを始めとした〝自制心〟という力を育み、鍛えることによって運命を、人生を切り開いていくことができる、ということです。

子どもの時からこのような環境で過ごすことの大切さを改めて感じると同時に、保育者としては子ども達にこのような力をぜひともつけて社会へ羽ばたいてほしいと思うところですね。

そして私たち大人も。より良い人生を手に入れる方法は目の前に広がっていたということを感じたこの度の出来事でした。

(報告者 加藤恭平)

everyday, marshmallow day!!!

 

空っぽのボールです。

空っぽのボールです。

 

皆に大人気絶品ミートソースがこの日の給食。配膳時に皆が〝いっぱい〟を言うので、あっと言う間に売り切れ(?笑)てしまいました。

 

おかわりしたい子に、と余っていた手付かずの麺お椀一杯分をボールに入れました。

おかわりしたい子に、と余っていた手付かずの麺お椀一杯分を優しくて可愛い職員がボールに入れてくれました。

調理の先生からは、「今おかわり分を茹でていますのでちょっと待っていて下さい」との連絡が。

ここで、皆に聞いてみました。

「ちょっとでもいいから今すぐおかわりしたい人は並んで下さい。そのかわりおかわりはちょっとです。」

「今調理の先生が麺を茹でてくれています。いっぱい食べたい人は待っていてください。」

「これマシュマロテストみたいですね。」と先ほどの職員が気付いてくれました。本当に、まるで、マシュマロテストそのものだと思いました。

11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2016年3月17日『実験結果』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝マシュマロを一つ置いておき、食べないで待っていれば、あとでもう一つあげるといい、もしどうしても食べたければ、ベルを鳴らせばいいよと言って部屋を出たときにどのような行動をするかを観察したのがマシュマロ実験とか、マシュマロ・テストとか呼ばれるもので、ミシェルらが行ないました。これは、主に欲求を満たすこと(欲求充足)を、先に延ばすことが出来るかということをテストしたもので、自己抑制力とか誘惑に打ち勝つ力だとか、我慢をする力だとか、意志の強さなどに関係してくるものです。〟

今年度の成長展のテーマは〝自制心〟です。テーマが決まり、そこにスポットを当てると、こういう場面にすぐに出会えるような気がして、不思議ながらいつもわくわくします。

それは逆を返せば、子ども達が成長をしている機会、保育者や研究者がその対象にしたいと思えるような事象に、実は毎日は溢れていて、それに気づけないだけなのかもしれませんね。

さぁ検証の結果はいかに!次回報告します。

(報告者 加藤恭平)

大阪

大阪

先日、塾長の大阪出張に同行させてもらいました。
その際に訪れたのが、ある幼稚園と保育園です。その幼稚園、保育園は以前新宿せいが保育園で働いておられ、臥竜塾の大先輩でもある邨橋先生が副園長先生をされているご実家の園です。
現在、邨橋先生は幼稚園の方の副園長先生ということなのですが、その幼稚園の環境を見学させていただきました。
(正式には幼保連携型子ども園になります)

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まず、幼稚園でありながらオープンスペースで、子どもたちが3.4.5歳の異年齢で過ごしているということに驚きました。まだまだ課題はたくさんあるということを言われていましたが、このように実際に実践しておられるということがすごいことだなと感じました。
いくつか写真を撮らせていただいたので、写真で環境の紹介をしたいと思います。

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水耕栽培ができるケースが3つ置かれていました。邨橋先生も「これ、結構いいんだよね」と気に入られているようでした。

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そして、立派な日本庭園がありました!この日本庭園は2階から1階に降りる階段からも見ることができますし、子どもたちがお昼寝をしていたところからも見ることができたり、相談室からも見ることができます。この日本庭園が様々な場所から自然と目に入ってきます。日本庭園を見ることで自然と落ち着く効果もあるのではないかと感じました。

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少し前に増築されたということもあり、環境の随所に遊び心やこだわりがありました。天井にはこのような頑丈なものが。ここにハンモックやブランコをくくりつけて遊べるようになっているそうです。

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トイレもとても清潔感のある空間でした。たくさん並べられた観葉植物も素敵ですね。また、ガラス張りになっていることで、外側からもこの観葉植物が目に入るので、外も中も気持ち良くなりますね。

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戸も活動によってガラスの部分にできたり、閉じたりもできます。

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このようなスペースもワクワクしますね。

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また、乳児クラスも見学させていただきました。ロフトがあったり、ままごとができるゾーンがあったりと心地よさそうな空間が広がっていました。乳児の先生の中には邨橋先生の奥様であり、以前新宿せいがで働かれていた先生もおられます。とても印象的だったのが、子どもたちがとても落ち着いているということでした。他の子が手を洗っているのを後ろで待っている子や、着替えを終えた子がテーブルで絵本を見ながら待っている様子など、子どもたちが自分で行動している姿を感じました。

 

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たくさんのメダカがいました!生き物が好きな子にはたまらないですね!

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台風の時に倒れてしまった木も有効活用されているそうです。子どもたちはここで列車ごっこをよくしているそうです!

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そして、一番テンションが上がったのが、園庭の環境です!
築山といった体を動かして遊ぶ環境があったり、木々が沢山あり、緑もあり、影もある環境でした。何より興奮したのがこのビオトープです!川魚、小川、ため池、用水路好きの私にとってはワクワクするような環境でした。ビオトープの中には沢山のメダカが泳いでいましたし、知らず知らずのうちにタニシやヤゴといった生き物も見られるようになったそうです。まさに生態系を感じることのできる環境でした。また、地中にためている雨水をポンプで引き上げ、ビオトープの中へそそぐここともできるのです。これは楽しそうですよね!雨水なので、雨が降っていない時期は水が出てきませんが、そんなことも感じて欲しいと邨橋先生も言われていました。

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亀が暮らしているこの環境も子どもたちがいつでも見ることができそうで、いいなと思いました。

 

簡単な報告ではありますが、

ご実家に戻られ、見守る保育を広めよう、実践しようとされている邨橋先生の姿勢からたくさんの力をいただいた今回の出張でした。

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報告者 森口達也

子育て講座②

前回の報告から随分、時間が経過してしまいました。すみません・・・。

まず、自己紹介から始めました。

今回、参加してくださったお父さんは4名でした。

1歳のこどものお父さん、7ヶ月の赤ちゃんのお父さん、3歳と7歳の子どもを持つお父さん、これからお父さんになる4名プラス、私と本多くんの計6名でした。

最初は資料として配布したこの新聞の記事を見てもらいました。

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以下は新聞に書かれてあることの抜粋です。

職場では責任を任される立場となり、さらに家庭では妻の負担を減らそうと慣れない家事をこなそうと頑張りすぎてしまうのが原因で産後うつになってしまう父親が増加しているそうです。

大阪樟蔭女子大教授の医師、石蔵さんは、男性は悩みを抱え込んでしまう傾向があるため、うつ状態が分かりにくいと言われています。40歳前後の子どもを持つ男性は仕事の重責や将来の不安でうつになりやすい環境にあるといいます。

続けて国際医療福祉大講師の清水さんは「ストレスから育児放棄、児童虐待につながることもあるため、早急な対応が必要です、現在は母子への支援が中心になっているため、父親の支援を充実させていく必要がある」と言われています。

確かに私も息子が生まれる前はとても不安がありました。

ミルクをあげたり、オムツを変えたりは保育園で何度かやったことがありますが、

やはり、なぜか不安があります。本当に自分は父親になれるのだろうか・・・と。

実際に地域の掲示板を見てみると母親が対象のコミュニティが多く、父親を対象としたイベントは見たことがありません。そういう実態での父親を対象とした講座は少しでも貢献できるように思います。

記事を見てもらいながら、自分の失敗談や実践していることなどをお互いに話しながら、本題の映像を見ました。

45分と少し長い映像でしたが、マシュマロテストで我慢できない子どもの可愛い姿を見て皆で笑ったり、母親が攻撃的になっている映像を見て少し緊張したり(笑)終始和やかな雰囲気で映像を皆さんで見ました。

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それを踏まえて後半の話し合いにすすみましたが、あるお父さんが早々に

「奥さんの為に、家事をやっていたけど・・・あんまり意味がないんですね(笑)」

どうやら母親が赤ちゃんと過ごす一日でストレスをどれだけ感じているのかと調べると、ほぼ一日中ストレスがかかっている状態だったそうです。これには驚きました。

ただ、その中でも唯一ストレスを緩和している時間がオキシトシンが分泌している「授乳」をしている時です。その中でも一番ストレスがなく、リラックスした状態でいる時がありました。

それはどんな時かというと、父親と子育てについて真剣に会話をしている時だったのです。

映像では二人の子どもをどうやってお風呂にいれたらいいのか、と二人で真剣に話し合っている状況でした。

夫が家事をしている時ではなく、顔を向き合って話し合っている時が一番リラックスしているという結果を聞いて、あるお父さんはそういう風に言われたのです。

この結果には一同、驚きと「そうかぁ・・・」という表情でした。

今回の子育て講座で私たちが学んだことは、

父親の役割は、子育てについて自分もしっかりと考え、妻と一緒に話し合う事が大切だということです。

普段、仕事で帰りが遅いため、心身共に疲れているのかもしれませんが、

子どものことを考え、奥さんと少しでも向き合う時間を作るだけでも私はいいと思います。

また最後にとても貴重なお話をいただきました。

参加されたお父さんの奥さんと7ヶ月の赤ちゃんが保育園に来られました。どうやら見学講座の終わりに見学をしたいということで・・・。

すると奥さんから

「この映像は、ママ友の間でも評判になってましたよ、結局ホルモンには勝てないのか・・・という感想をママ友同士で話していました(笑)でも私からこの映像を見て!というのも押し付けがましかったので、良かったです」

と言っていただきました。

それを聞いて本多くんが

「やはりママはなんだかんだで、父親に気を使ってくれているのですね・・・」

と言い、第一回子育て講座は無事に終了しました。

次回の日程と内容はまだ未定ですが、少しづつこういう形で地域に貢献できればと思います。

(報告者 山下祐)

私待つわ いつまでも待ちます

今年度の成長展、テーマは〝自制心〟。そんなことを思いながら写真を撮り集めています。

「我慢できている姿ばかりじゃなく、今はまだ我慢できない姿を追っていくことで、成長展の時にその子の成長を見せられるのでは。」

係での話し合いを受けて、様々な場面でカメラを向けています。

すると先日、ホールで運動あそびをした際にこんな姿と出会いました。

注目はこの一番左端の緑のズボンの男の子。

注目はこの一番左端の緑のズボンの男の子。

ボルダリングのスペースに順番を待つ為に並んで、もうかれこれ5分程経っています。

左の子とお喋りをしながら待っています。

左の子とお喋りをしながら待っています。

 

こんな感じで、何人の子が遊んでいる姿を見送ってきたことでしょう。

こんな感じで、何人の子が遊んでいる姿を見送ってきたことでしょう。

 

赤い服の子が終わればいよいよその子の番です!

赤い服の子が終わればいよいよその子の番です!

 ところが赤い服の子が長い長い!(笑)

足を曲げて体をクネクネさせています。

足を曲げて体をクネクネさせています。

 

ちょっとぼーっとしてみたり、

ちょっとぼーっとしてみたり、

 

足を伸ばしてみたり、

足を伸ばしてみたり、

 

足をあぐらのようにしてみたり、

足をあぐらのようにしてみたり、

 

鼻をかいてみたり、

鼻をかいてみたり、

 

足をバタバタさせてみたり、

足をバタバタさせてみたり、

 

(お、そろそろかな?)

(お、そろそろかな?)

 

終了!

終了!

 

急ぐ彼!

急ぐ彼!

 

そして念願のボルダリング!

そして待望のボルダリング!

 写真の情報を見ると、カメラを向けてから遊ぶまでの間、約8分。

その前から並んでいたので、10分は優に超えるのではないかと思います。

11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2016年7月5日『自己防御のレッスン』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝司会者は辛抱強く、クッキーを食べたくて仕方ないクッキーモンスターに再びルールを説明します。「もし僕が戻ってくるまでクッキーを食べないで待っていたら、2枚もらえるんだよ!」クッキーモンスターは、ほんの一瞬、それは良い考えだと思います。「それなら待つよ」司会者は、がんばってと声を掛けます。ところが、クッキーモンスターの頭にはすぐにホットな考えが浮かび、「あっ、何言ってんだ、待てないよ!今食べる!」と言って、クッキーに向かって突進します。すると突然“ウェイティング・ゲーム・シンガーズが現われ、「待てば必ず良いことがある」と歌いながら、クッキーモンスターの行く手を遮ります。

ウェイティング・ゲーム・シンガーズが、何かを待つのがとてもつらいときには、歌うのが良い手だと諭すので、クッキーモンスターは試してみます。ところが、待てないし、待ちたくもないと思います。「まあ、いいや、食べちゃおう!」しかし、シンガーズがまたしても割って入ります。「別の手が必要だね。覚えている?待てば必ず良いことがある。そう、待てば必ず良いことがある」。

クッキーモンスターは、クッキーが額縁の中にあるふりをすることを学びます。頭の中に描いている額縁を指で形作り、本物の額縁を引っ張り出し、クッキーを額縁に入れ、両手の親指をくるくる回したり鼻歌を歌ったりするのですが、すぐまた誘惑に駆られます。それでも救いの手をさしのべ続けてもらい、新しい戦略を一つ一つ学び、自らもいくつか発見し始めて、自分でも驚きます。「別の方法が必要なんだ。あっ!そうだ!このおもちゃで遊んでクッキーのことを忘れよう」。犬のぬいぐるみを持ち出して、一人で歌いながらそのぬいぐるみで遊び出します。それにも飽きると、新しい方法を編み出して我慢し続けるのです。

 「おいしいクッキーがすごく臭い魚ということにしよう」。台の上のクッキーは魚に変わり、彼はいかにも臭いという感じであたりの空気を払いながら待ちます。ずいぶん長い間、おおいに苦労し、我慢強さを増した彼は、ウェイティング・ゲームの勝者となるのです。そして、ウェイティング・ゲーム・シンガーズに交じって勝ち誇ったように歌います。「待てば必ず良いことがある」。〟

ウェイティング・ゲーム・シンガーズの登場がなくてもこれだけの時間を待つことができたのは、「楽しいボルダリングが待っている!」という期待感と、日々の生活の中で彼の中に育まれた自己を制御する為の方法、我慢をする為の気の逸らし方などの方法が機能したことによるでしょう。

これは、今回のような日々の生活の折々で、また、例えば給食の〝いただきます〟の挨拶を皆で一緒にすることなど、保育の意図された環境の中で育まれている、と言えるように思います。

「待てば必ず良いことがある」。彼はセサミストリートのウェイティング・ゲームを実際に見たわけではないでしょうが、このような力というのは、育まれるべき環境の中にいることで自然と育まれていくものなのですね。

そして、このような姿を追っていくことで、例えば今後同じような場面が生まれた際に、どのような対応が生まれるのか、待てる時間の長さに変化はあるものなのか、など見えてくるものがあるようにも思います。

毎日の保育が、子ども達の姿を見守っていくことが改めて楽しみになるような、この度の出来事でした。

(報告者 加藤恭平)

感じること

今年は0歳児クラスに初めて担当になり、毎日必死で働いております。

はやり0歳ということで細かい部分も多く覚えることも多いですが、毎日刺激を受け、楽しく過ごさせてもらっています。
そして、今年初めて離乳食をあげることができました。小さい口を開けて一生懸命食べる姿は本当に可愛く、愛おしくなります。
そんな中でご飯が出てきても口を開け、ただ食べるだけという子がいました。他の子は自分で食べようとしてみたり、食べたいという意欲から手でつかんでみたりする子がいますがそうではありませんでした。
手を出すことはありません。笑

手を出すことはありません。笑

どうしたら自分で食べてみようという意欲が出るかなと思い、ご飯を前にしてしばらく様子を見ていると、キョロキョロとお友だちを見るようになります。
社会性を学ぶかのようにお友だちが食べているところをじっくりと見始めました。
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なるほど言わんばかりに見ています。笑

子どもにしてみたらどうしてこの人はご飯をくれないんだと思っていたかもしれないですね。
次の日は、興味が出てきたのかご飯を触り始めました。隣で美味しそうに食べる友だちを見て自分も食べたいという意識が湧いてきたのでしょうか。
その日は少し触る程度で終わりましたが次の日も少し様子を見ていると手に付いたものを口に運ぶようになってきました。
スティックを持つようになります。

スティックを持つようになります。

そして、何日かすると自分で意欲的に食べるようになっていました。
意欲的に食べるようになっていました。

意欲的に食べるようになっていました。

こうした流れを見るとお友だちの影響は0歳から存在することはもちろん、子どもの力を引き出す保育者の見守りの大切さというのにも気づかされます。「0歳だからという思い込みというのはなくすこと。赤ちゃんの面倒をよく見てあげるのは大切なことですが、赤ちゃん自身の力を信じ、成長の邪魔をしないということはもっと大切です。環境と相互作用して育っていくのは大人ではなく赤ちゃん自身です。」と塾長の出している『保育としての「食育」』という本に書かれています。
自分の子も早く集団に入れ、色々と刺激を受けてもらいたいと感じました。
(報告者 本多悠里)

子育て講座①

先週の金曜日から、やたらスマホを見ながら街中を歩き回っている人を見ます。

モンスターを捕まえるのも分かりますが、気づいたら自分が迷惑モンスターになって捕まらないように注意しないといけませんね。

 

さて先週の土曜日に「子育て講座」を行いました。

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そもそも、なぜ子育て講座を行ったかと言うと、いくつか理由があります。

塾長から聞いた話しによると、将来こども園になるにあたって地域支援が2つほど行うことが必須項目になるそうです。現在、私の妻が「マタニティカフェ」を定期的に行っていますが、これも地域支援の一つです。そして「子育て講座」が二つ目です。

次の理由は、新宿せいが保育園で約10年もお世話になり、そろそろ自分も園に貢献し、そして地域にも貢献できることは何か?また結婚し息子がいて塾長と出張に行かなくなった今、自分には何ができるのだろうか?とずっと考えていました。そんな時にふと「子育て講座をやってみよう」と思いついたのです。

最後の理由は、これが一番の決めてかもしれません。

少し前の臥竜塾の報告でNHKスペシャル「ママたちが非常事態」という番組を塾生で見ました。

詳しくは塾生の加藤君が報告をまとめているので、ブログ上の検索機能を使って「ママたち」で検索をすると出てくるので気になる方は見てみてください。あとはyoutube でも「ママたちが非常事態」で検索すると見れます。

番組の内容を簡単に説明させていただくと、今の日本の子育て環境が母親にとって良くない影響を与えていることを大きなテーマとしています。そもそも人間の子育てというのは親だけが行うことではなく「共同養育」集団で子どもを養育していくように人間の遺伝子は作られているのです。しかし専業主婦の場合、ほぼ一日中赤ちゃんと一緒にいることで、子育てが上手くいかない自分に対して自信喪失、不安、心配、それらがどんどん母親達を追い詰めています。また2歳児のイヤイヤ期、そして夫婦関係、それらを科学的に証明されてきているのを教えてくれます。

この番組を見たときに、とても肩の荷が下りたのを覚えています。

と言うのも、番組の中に0~1歳の時の離婚率が一番高いそうです。おそらく一番の原因は夫婦間のトラブルだと思いますが、それも科学的に証明されているのです。

赤ちゃんに母乳をあげている時に母親の体内ではオキシトシンというホルモンが分泌されています。このホルモンは「愛情と攻撃性」を兼ね揃えたホルモンであり、母乳をあげている時は、とてもリラックスした状態になり、我が子に対して、とても愛おしくなるようです。しかし、我が子を脅かす存在が現れたとたんに、我が子を敵から守る為という働きがあるため、いくら信頼のできる夫でも時には敵とみなし、結果的に強くあたってしまうというのです。

今回の講座で、参加者の方に一番伝えたかったのは、ここの部分でした。

では具体的に講座の雰囲気がどうだったのか、次の報告でしたいと思います。

(報告者 山下祐)

集団

新宿せいが保育園で働きだしてから約4ヶ月が経ちました。私は今年は職員室フリーという担当で、職員室で仕事をしたり、来客、見学者の方の対応をしたり、クラスのヘルプに入ったりという仕事をしています。そんな中で先日、わらす(345歳児)の部屋のヘルプに入る機会がありました。いつものように子どもたちはそれぞれのゾーンで遊んでいたのですが、ふとしたことに気がつきました。それは、子どもたちが遊んでいるどの場面でも複数の子どもたちが関わって遊んでいるということでした。その後を観察しても、ある子が何かのおもちゃやボードゲームを持って机に座るとどこからともなく自然と子どもたちがやってきて、何人かの集団になり一つの遊びを楽しんでいる姿がありました。集団を大切にする見守る保育の園では当たり前の光景なのかもしれませんが、何だかそのことを改めて感じて、すごいな!と思いました。この子どもたちの姿は012歳児の頃からの集団を大切にする保育の積み重ねによるものですね。

 

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そんな中でもちょっと一人で遊びたい子ももちろんいます。誰しも一人で遊びたいことはありますね。きっとこの子の周りに他の子がいないのは、写真の子の気持ちを感じ取っているからなのかもしれません。写真の子は今は一人で集中してこのパズルを完成させたいんだと感じ取っているからこそ、あえて近づいていないのかなと見ていて感じました。それもまた子ども同士が関わっているということでもありますね。

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塾長のブログや少し前の園だよりでの塾長の巻頭言の中で、幸せは人との関係性の中にあるというようなことを言っておられました。誰かと関わることは当然ストレスも生みます。しかし、人と関わることはその何倍も楽しいことであり、嬉しいことで、そしてそれが幸せにつながっていくんですね。

報告者 森口達也

臥竜塾ワークショップ ~調理編~

報告が少し遅くなってしまいましたが、7月12日に臥竜塾のワークショップを行いました。

先ずは、前回の「ブラヘイジ」と前々回の「黒板作り」を通じて、自園での取り組み状況を発表してもらいました。ブラヘイジについては、子どもとの散歩中にある坂の名前や長さに子どもが興味を持つきっかけになった。という園さんや、自分の園の周りのものを注意深く見るようになった。という園さんもありました。黒板作りでは、園で作ったものの写真を持ってきてくれ、誕生日の子どもや、先生の名前を書く用の黒板を作った園さんや、先生同士のメモを書き込んだりしているという園さんもいまいした。また、まだ取り組めてはいないが、今後取り組んでいきたいという声もありました。

その後は、調理についてのワークショップを行いました。

始めは、保育指針に書かれている「食育」に沿って新宿せいがでの取り組みを、パワーポイントを使って紹介させて頂きました。そして今回のワークショップは「ダンボール燻製箱作り」という事で、始まる前から作っていた自家製の燻製を食べてもらいながら取り組みを聞いてもらいました。

その後は実際に燻製箱を作ってもらいました。そして、火のつけ方や注意事項を伝えて、質問などを聞き今回のワークショップは無事に終了しました。

作るの事態はとても簡単ですし、季節的にも外で楽しめると思うのでぜひ自園で作ってもらいたいと思い、今回燻製箱を作ってもらいました。そして、スモークチップの香りなどバリエーションがあるので楽しんで頂きたいと思います。(報告者 柿崎)

燻製を食べながら食育についての話を聞いてもらいました

燻製を食べながら食育についての話を聞いてもらいました

段ボール箱を使った燻製箱作り

段ボール箱を使った燻製箱作り

写真で二言三言

 

お椀が7個、お皿が7枚。

お椀が7個、お皿が7枚。

 配膳の時の写真なのですが、とても感動したので報告します。

新宿せいが保育園では配膳も異年齢のグループで行っています。2Fと3Fに分かれて食べ、お当番になったグループはお当番をした階で食べます。

以前、流れるままに配膳をしていたら、お当番さんのお皿やお椀が足りなくなってしまったことがありました。

なので基本は、先にお当番さんのものは確保しておき、配膳を始める、といった段取りになっています。

その日は配膳を始めようと思った矢先、もう既にこうして確保してあったのです。

忘れやすい僕なので(笑)とても助かりました。

職員にお礼を言うと、「私じゃないですね〜。誰でしょうね。」とのこと。

するとその会話を聞いて、「やっておいたよ〜。」と声をかけてくれたのはすいすい組(5歳児クラス)のこの日のお当番の女の子でした。

前回の報告で紹介させていただきました、11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2013年11月28日『社会の一員』。結びにこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝教育とは、文化を伝達するだけのものではなく、もう一つの大切な論点があるとデューイは考えます。それは、子どもたちに社会をつくり直していく能力を身につけさせることだとしています。既存の文化を伝えるとともに、新しい文化を創り出していける力、その新しい文化を創り出して、その新しい文化によって社会をつくり直していく能力を身につけさせることが重要であるとしたのです。これは、とても新しい考え方です。また、その力をつけるための教育も変わってくるはずです。日本の教育の目的である、社会の形成者としての資質は、その一員として、社会の中で「共生」する力と、社会に「貢献」する力が必要になるのです。

 それは、社会を存続させる際に大切な活動が教育の中で、「更新(リニューアル)」ということを重要視しました。その新しい文化を創り出す能力が「成長」の証です。社会を取り巻く環境や状況は変わっていきます。しかし、環境や状況が変わっても社会が滅びずに連続していくためには、単に文化を伝えるのではなく、文化を新しく創造していく、あるいは更新していくということが重要なテーマとなると考えたのです。

このことをデューイは、『民主主義と教育』の中で述べています。すなわち、教育の大切な役割は、「大人が子どもに文化を伝達し、子どもを社会の一員とする。」「子どもに新しい文化を創造する能力を身につけさせる」「変動する環境に適応できる力を教育によって育てる。」としたのです。〟

大げさかもわかりませんが、上記の〝子どもに新しい文化を創造する能力〟という部分、まさに当てはまるように思いました。本来お当番の仕事ではないことを自分で想像し、創造しています。

〝共生と貢献〟。こうして子ども達に貢献してもらいながら、大人が助けられ、そして助けてもらった恩を子ども達に返す。それはまさに共生であり、子ども達は共に社会を築かんとする共同体、仲間なのだということを改めて感じた出来事でした。

(報告者 加藤恭平)