体験からの学び

桜の花びらで春の遊び

遊んでいると、てんとう虫を捕まえた子が、見せにきました。

横にいたすいすい組(5歳児クラス)の子が「てんとう虫は葉っぱを食べる」と言います。

そうだったっけ?と思いながら、図鑑を見てみようと誘ってみると、「おばあちゃんから教わった」「絶対にそう」との一点張り。

これは良い機会と思い、

その日のすいすい番の時間

皆で、てんとう虫の生態についての動画を観ました。

2010年4月14日『体験からの学び』の中でこう書かれています。

体験重視の教育の姿勢は、海外では多く見られます。日本では、どうしても知識を先生が伝達し、それを子どもたちが覚えるという授業が多く見られます。アメリカの多くの学校では、「I hear, and I forget.(聞いたことは忘れる)、I see, and I remember.(見たことは思い出す)、I do, and I understand.(体験したことは身に付く)」という言葉が教室の壁に貼ってあることがあります。この言葉は、体験型の授業が多く採用されていることなのです。日本でも、最近、体験型学習や自分で考える力の育成に力点を置く教育が重視されています。体験して身に付けたことこそが、生きる力につながっていき、教育から発育への転換ともなるのです。
この考え方は、いろいろなところで言われていますが、多くは「老子」の格言として伝わっています。「聞いたことは、忘れる。見たことは覚える。体験したことは、分かる。」という言葉です。それに付け加えて、「見つけ出したことは、身に付く。」という言葉もあります。それぞれの学習効果を、記憶に残る割合で示した数字がアメリカで発表されています。聞いたとき(講義)は、10%、見たとき(見学)は、15%、聞いてみたとき(講義+見学)は、20%、話し合ったとき(討議)は、40%、体験したとき(疑似体験や実体験)は、80%、人に教えたとき(相互レクチャー)は、90%だったそうです。

食性は種類によって大きく異なり、アブラムシやカイガラムシなどを食べる肉食性の種類、うどんこ病菌などを食べる菌食性の種類、ナス科植物などを食べる草食性の種類の3つに分けることができる。(wikipedia)

もう一歩踏み込んだ展開をその当時には考えつきませんでした。学ぶことで保育が違ってくることを、一年後の今改めて感じます。

(報告 加藤)

自由の制限

2019/4/5

新入園児の動向を、川邊先生に追ってもらえないかお願いしてみました。

「あの子は大体水場に行きます。」

それを聞いて以来、散歩先の水場に目をやると確かにその子がいるので、何とも面白く感じたものでした。

2015年3月10日『自由の制限』の中でこう書かれています。

人類は、社会を形成して生き延びてきたからと言って、社会は、別の見方をすれば、自分の自由を制限してしまいます。社会の中で生きていくためには、我慢をしなければならないことも多くあります。そんな時に、いつも「自由」ということを考えてしまいます。人は常に自由を求め、自発的に生きることを望みます。一方、社会の一員としてルールを大切にします。冷静に考えてみると、他者と関わることで引き起こされるのは、プラスの側面よりもマイナスの側面の方が多いように見えます。とくに、今の若い人は、よりそう思う人が多いようです。

たしかに自分の行動の自由度が狭まるという意味でのマイナスであって、そのせいで直接不利益が生じているわけではないと藤井さんは言います。さらに、「もし何も制限がないとしたら、私たちの行動にはほぼ無限の自由度があります。もちろん、身体のもつ自由度を超えるふるまいはできませんが、その範囲であれば、いつのところ何をやってもいいはずです。しかし、大人になった私たちは、好きな時に何をしてもよいと言われても、戸惑ってしまうのではないかと思います。なぜなら、自由度を狭められつつも私たちの生活はそれなりに安定していますし、これまでと違う新しいことを始めるのは結構大変な労力を必要とするからです。」と言います。

与えられた自由に対して行動の制限を自分から設けるという子どもの行動に納得すると同時に、それが人間進化の中で創られてきた自然な姿であるということは、大きな学びとなりました。

(報告 加藤)

象徴機能

2019/4/4

園に養蜂箱がやってきました。

近くで見たり、匂いを嗅いだり

2020年3月25日の報告に、

象徴機能を育てる為には色んなことを見たり聞いたりしないとその機能って発達しないってことだよね

と塾長の言葉がある通り、こういった経験も子どもたちの何かにきっとなっていたのでしょう。

忙しく通り過ぎてしまった2019年度を約1年後の今、子どもたちとの日々を、チームの先生方との日々を、振り返っていけたらと思います。

(報告 加藤)

思考方法

らんらん組(4歳児クラス)の子が散歩先で水遊びをしているのを見て、やめさせようと、声をかけに行きました。

「違うよ。魚の絵を描いてたんだよ。」

2014年12月22日『思考方法』の中でこう書かれています。

科学には、この非意識的思考が重要なのです。科学的というと、情緒的と正反対な世界のように思えますが、実は、そこにはかなり人間の能力の中で五感以外の感覚が必要のようです。「ははぁ、やっとわかった!」という、思いがけない解決を経験することがよくあります。そのとき、意識的な思考では思いつかなかった解決を、非意識的なプロセスが導き出したものなのです。このようなことを、たぶん、「ひらめき!」というのでしょうが、科学的思考の領域では、想像力と同じように、直観的な洞察力も大切なのです。解決すべき問題を見つけ出したり、解決方法の目星をつけたりするときに、なくてはならない思考法だというのです。「確かにね!」と同感します。理詰めで考えを展開していくと息づまることがあり、ふと、直観的にひらめくことがあります。

3月に入り、今年度も最終章に入ったように感じたある日、自分でも気付かない焦りのようなものがあったことに気付かされました。

焦らなくていいんだよ、と魚の絵が教えてくれているようでした。

(報告 加藤)

テーマのヒント

卒園式後のブラヘイジ

雪が降り、関東の桜が開花宣言をしたあの日、ブラヘイジへ。

コーヒーを飲もうと立ち寄ったお店の天井に

塾長より、「あれ、いいね。」「ドイツでは水の生き物をトイレに飾るんだよね。」

ということで早速購入。

そして園のトイレへ

「水に関係する装飾を増やすといいよね。」「ネットとか網とかかけるともっと雰囲気が出るかもね。」

2012年6月12日『テーマのヒント』の中でこう書かれています。

テーマに沿っていろいろな企画をするときに感じるのが、さまざまなアイディアが出る人と、なかなかアイディアが出ない人がいるということです。それは、生まれつきもあるのですが、それ以上にいろいろな経験をしているかどうかに関係してきます。それは、いろいろな場所に旅行に行くことも大切でしょうし、映画を見たり、本を読んだりすることも必要でしょうし、遊園地、デパートの子ども広場、地域の公園などに行くのもいいでしょう。もしかしたら、和風の居酒屋や、素敵な洋風のレストランにもヒントがあるかもしれません。私は、テーマが宇宙だった時に、夕涼み会の全体イメージでいいヒントがないかと思って、北九州のスペースワールドに行ったことがありますし、鳥がテーマの年には、野鳥公園にも行きました。私の子どもが小さかったころは、よく家族で地域のウォークラリーに参加していました。保育という仕事は、そんなことが、仕事のうちだということができる職業であることに感謝しています。

 しかし、いろいろな体験をすることが大切であるといっても、そこから感じ取る感性がなければなりません。何気なく見過ごしていることでも、そこにはヒントがたくさんあるのです。私は、職員と時間があるときには「ブラヘイジ」という、地域を歩く会を持ちますが、ただ見学して歩くのではなく、そこに保育のヒントがたくさんあり、それをレクチャーするという意図もあるのです。店のディスプレーを見て、「これは園の装飾に使えるね!」、しゃれたグッズの店に行くと、「これをあそこに置くといいかもね!」、ドイツに行ったときにも、園の見学だけでなく、店を見て歩くときにも、道を歩くときにも何かヒントがないかを探します。たとえば、ビアホールに入ったら、ビールの原料のホップが梁からぶら下がり、壁にはビールをかたどったリースがかけられています。こんな装飾を見ると、園での装飾の参考になります。それは、職業的「性」ではなく、職業的「楽しみ」なのです。

もっと鋭く、もっと楽しんでいかなくてはと思います。

(報告 加藤)

面と線と点 向き合う

2014年1月7日『面と線と点』の中でこう書かれています。

フレーベルが考えた恩物は、子どもが自由に遊んでいる中で、いろいろな仕組みや形状に感覚的に感じ取り、気づいていくことを意図していると言っても、恩物を与えることによって、「知らせていく」というやり方は、教育的色彩は強く感じます。しかし、恩物の効果として、「子どもに内在する自発性と探究心を導き出します。」「美的感覚を発達させ、情緒を安定させます。」「想像力、創意力、表現力を育てます。」「筋肉のコントロールを促します。」「集中力を向上させ、論理、数学的な思考力を育てます。」とあるのは、これだけ指導の仕方が細かく決められているとしたら、現代では少し疑問を持つ部分があります。

 しかし、やはり学ぶべきことも多いと思います。例えば、確かに恩物は、子どもの学習原理に合わせて単純な物から複雑な物へ、簡単な物から難しい物へ、具体的な物から抽象的な物へと連続的に学習できるように、有機的で体系的に構成されています。これは、その通りに行うかということは別にして、幼児の自由な遊び方を許さないほど系列化・体系化された保育方法は参考になります。

開設された新しいゾーン

楽しいようです

「パズルと積み木を組み合わせたみたいな感じかなぁ」

気付くと3人に

・1つのスペースに1〜2人まで

・玩具は1スペースに1つ

簡単なルールで始めてみましたが、意外とルールを守って遊んでいました。

そして、片付けへ

「これ、片付けが難しいね」

「頭のいい人しか(片付け)出来ないよ」笑

最後は、協力して片付けていました

2014年1月8日『向き合う』

子ども集団があり、複数の保育者がいる保育園、幼稚園で、果たしてこの序列化した恩物を丁寧に子どもたちに知らしめることができるのか、また、その必要があるのかというを考える必要があると思います。子どもと恩物と向き合うのであれば、家庭でも十分と体験できます。むしろ、家庭の方が両親から丁寧に体験していく手順を教えてもらうことができます。それとも、塾とか、小さい子どもの家のような環境で学ぶべき手順の気がするのです。

園にしかないだろう環境の中で、園でしか出来ないであろう成長をしている子どもたちです。

(報告 加藤)

おたのしみ会の考察18

おたのしみ会が終わりました。

本番当日よりもそれまでの過程が心に残るこの度の行事でした。

絵本『おばけのてんぷら』を題材に

皆で買い物へ行って、

料理の上手な看護師の先生にてんぷらを揚げてもらいました

熱々を皆で頬張りました

大道具作りも子どもたちで

劇で使った『天婦羅鍋』

チームの先生方から手厚いご協力をいただき、本当に感謝しかありません。

ブログ『臥竜塾』2012年12月27日『おたのしみ会の考察18』の中でこう書かれています。

子どもたちは、様々な経験、体験からいろいろなものを表現します。おたのしみ会で子どもたちに話し合いをさせようと思っても、それまでの体験が豊富でないと、アイディアを思いつきません。すると、つまらないおたのしみ会になってしまいます。ただ、話し合いをさせればいわけではありませんし、子どもたちに任せればいいわけではないのです。普段の保育、生活の中での導入が必要なのです。

本番の舞台は、ご観覧いただいた方々の目にどのように映ったでしょうか。子どもたちは、とても楽しかったようです。こうして、また一つ行事が終わり、その度に達成感のような清々しさと、寂しさを味わっています。

(報告 加藤)

おたのしみ会の考察19

先月31日、雑巾掛けをしようと広がった部屋を見て、

「皆で大きなかぼちゃの絵が描きたい」とのことで、

外へ出て描いてみることに

どう描き始めるのでしょう。

子どもたちで話し合い、

順番に線を引いていくことになりました

次の子、

また次の子、という具合です

その後は塗りたい放題

「よく見たらかぼちゃってオレンジだけじゃないね」

「手がハロウィンみたい」

「(この絵の名前は)『ハッピーハロウィン』にすると、ハロウィン終わったら剥がさなくちゃいけないから、、」

『しあわせのかぼちゃ』に

ブログ『臥竜塾』2012年12月28日『おたのしみ会の考察19』の中でこう書かれています。

ここには担任の意図があるのです。おたのしみ会の出し物は、普段の子どもたちの生活、子どもたちの活動から取り出すのですが、その逆もあるのです。それは、おたのしみ会の出し物にし、その取り組みから、普段の保育の動機づけにしていくのです。子どもにつけたい力、子どもたちに取り組んでもらいたい活動を、おたのしみ会に取り組む中から、普段の保育につなげていくという保育もあるのです。

おたのしみ会で用いる装飾たちを子どもたちと作っていけたらと思いました。

(報告 加藤)

シンガポールにおける参画

運動会が無事終わりました。

すいすい組(5歳児クラス)のリレーは接戦でしたが、走順など、子どもたちが決めました。

ホワイトボードに子どもたちのマグネット

場所が変わって、メンバーが変わって

決定したことを、話し合いに混ざらなかった子たちに確認

そして散歩へ

見事並べました

子どもたちで決めたことだからでしょうか。

ブログ『臥竜塾』2019年7月27日『シンガポールにおける参画』の中でこう書かれています。

参画は、大人が計画したものへの参加と違って、計画自体にも加わったり、企画から参加することです。その一つが子ども「選択」があるように思えます。

子どもたちの子どもたちによる子どもたちの為のリレーを目の当たりにし、その感動を来場者の方々と共有できたことをとても幸せに思います。

感動をありがとう

(報告 加藤)

誤信念課題

「さすがすいすい(5歳児クラス)さん」

「昨年は◯◯ちゃんがよく気付いてやってくれてたよね」

職員同士の会話の元になったのは、

高く重なった食器を下ろしてくれたすいすいの子

今年もこのような姿と出会うことが出来、嬉しくなりました。

ブログ『臥竜塾』2019年9月4日『誤信念課題』の中でこう書かれています。

認知的共感は、自分と他人の状態が異なっていても、相手の立場、相手の視点に立てる能力ともいえます。心の理論は、その代表例だと言うのです。心の理論は、自分や他者の行動に対して、その背後に心の働きを帰属する能力です。

日々の生活の中の何気ない姿ですが、様々な要因がこのような姿へと繋がっているような気がして、今年も自然と生まれたこんな光景に思わず感動してしまいました。

(報告 加藤)