今回の年間講座のテーマは「科学実験」ということで、参加者の皆さんと子どもたちと楽しめる科学実験を楽しみました。
まずは、保育の中の「科学」について皆さんと共有し、考えることからはじまりました。
科学というと「なんだか難しそう」と思ってしまいますが、実はそれは科学に対する固定観念で科学は日々の生活の中、自然の中にあふれているものということを皆さんで共有しました。
塾長も科学は「知る」という言葉が語源であること、子どもは何でも知りたがる、つまり子どもにとっての科学は知るという人間本来の能力を育んでいることになると言われています。
私も以前、科学の環境を用意したり、体験を子どもたちと行う際に、科学を難しく考えてしまっていました。しかし、そんな時に塾長から「先生が不思議だと思ったことを子どもと一緒に体験することがまずは大切」ということを言っていただき、とても楽に科学と向き合えるようになったことを覚えています。保育者の役割にもつながっていくことだと思うのですが、「不思議を楽しむこと」「不思議だと思えること」は保育者にとって大切な資質になりますね。
また、保育者の役割として重要な4つの役割を考えました。
「科学体験」における保育者の役割ということでしたが、これは日々の保育の中での保育者の役割にも当てはまることだなと思わされました。
そして、次にいよいよ実験に移っていきました。
今回は
①ペットボトルレンズ
②ティッシュペーパーとトイレットペーパー実験
③コーヒーフィルター実験
④油とインク実験
⑤骨伝導実験
の5つの実験を行いました。
まずはペットボトル実験です。これはペットボトルに水をいっぱい入れて準備は完了です。
実験の内容もシンプルで、このペットボトルを目に近づけるだけです!そうすると…..目の部分が大きくなって、なんとも面白い顔に仕上がります笑
自分の顔はなかなか見ることができないので、友達同士でやってみると盛り上がるかもしれません。
また、ペットボトル越しに景色を見ると景色が反対になっているのを発見した先生もおられました。まさにその発見、姿ことが科学する心ですね!
次は「ティッシュペーパーとトイレットペーパー実験」です。
これは、まず2つの透明なコップのそれぞれに水を入れます。その一つにティッシュペーパーを適量入れ、もう片方にはトイレットペーパーを適量入れ、割り箸でかき混ぜるとどうなるのかという実験です。
頭ではどうなのか想像がつくのですが、実際にやってみるとほぐれかたの違いがここまではっきりするのかと驚くのではないかと思います。もちろん、結果はトイレットペーパーの方をかき混ぜると、ペーパーはバラバラになりますが、ティッシュペーパーの方はほぐれず割り箸にまとわりついてしまいます。これは繊維の結合の違いから起こるらしいのですが、そんなことは二の次ですね笑
ここで、おもしろい展開になったのですが、ある先生が大きなペットボトルに丸々トイレットペーパー一つ分の紙が入るのかを試してみたい!ということになり、同じ机の皆さんとも盛り上がり、挑戦してみることになりました。
この姿がとても印象的でした。「こうやったらどうなるんだろう?」という好奇心が周りの人にも伝わり、活動がさらに展開していくというのはまさに科学体験だなと感じました。かつて塾長のブログで科学について取り上げられていた時に、科学のコンテストで優勝した高校生集団の話があったという記憶があります。そのブログでは、科学はチームプレイであるということが取り上げられていました。科学というと一見、一人で行うものというイメージがありますが、そうではないということを知りましたし、今回の実験で、そのことを身を持って感じました。
次はコーヒーフィルター実験です。これは水性ペンでコーヒーフィルターに絵を描きます。その絵に、スポイトで水を垂らすと水性ペンのインクがにじんで様々な模様になるという実験です。ここでちょっとしたアクシデントが、何種類か水性ペンを用意したのですが、うまく色がにじまないペンがありました。やけに紫だけがにじむな〜…あ〜事前に確認をしておくんだった…と思ったのですが、これもまた科学!にじまないものと、にじむものがあるのはどうしてなのだろうと考えることができますね笑
強引かもしれませんが、失敗も考え方一つで「不思議に!」変わるのかもしれません(しかし、準備、チェックはちゃんとしたほうがいいですね)。そんな実験をしていく中で、さすが参加者の皆さん、さらに実験を発展させていました。コーヒーフィルターに先ほど使ったティッシュを入れて、水をこして遊んでいる方がおられました。このような好奇心もまた科学ですね!
補足ですが、実はこの実験を若林先生がドイツで体験されています。ドイツでは、コーヒーフィルターに色々なメーカーの黒色の水性ペンを塗り、それぞれの黒色に水滴を落としてみたそうです。そうすると、メーカーによって黒の作り方が異なるそうで、様々な色がそこからにじみでてくるそうです!今回はその実験はできなかったのですが、是非やってみたいですね!
次は「油とインク実験」です。これは、まず透明なコップに水を入れます。そして、そこに油を入れます。そうすると水と油が分離し、二層の層ができます。これだけでもかなり不思議なのですが、そこにインクを一滴たらすとさらに不思議なことが起こります。油の層に垂らされたインクは丸い形になり、しばらく油の層でとどまります。しかし、ここでじっくり待ってその様子を見ておくと…丸くなったインクが水の層に落ちる時がやってきます。そうなると先ほどまで丸くなっていたインクは水の層の中で広がっていきます。これがなんとも美しいのです!水の層にインクが落ちた途端、「おお〜」と歓声が上がります。また、面白いのが、なかなかインクが落ちない方がいたり、なんらなずっとインクが落ちずに油の層でとどまっている方がおられました。どれも同じでないというのがまた不思議ですね。
ちなみにドイツではこの実験は「待つ力」にもつながると解説されていたそうです。塾長も待つことは大切だか、待った先に楽しみがあることが大切であるということを言われますが、まさにそのことにつながりますね。
さて、最後の実験です。最後は「骨伝導実験」です。この実験はオルゴールを使います。どうするのかと言いますと、オルゴールを鳴らし、歯で割り箸をくわえます。歯でくわえるというのがポイントです。そして、その割り箸の先をオルゴールにつけます。この時、両耳を両手でしっかり塞ぎます。そうすると…なんと頭の中でオルゴールのメロディーが聞こえてくるのです!何を言っているのかよく分からないかもしれませんが、頭の中でメロディーが鳴るのです笑
これは耳からではなく、割り箸から歯へと音の振動が伝わり、その振動が頭蓋骨まで伝わり、音が聞こえるからだそうです。実際にこれを体験した皆さんからは驚きの声が上がっていました。この驚きは体験してみないとわからないので、ぜひ皆さんもやってみてください!使ったオルゴールは一人一個ずつ持ちかえっていただきました!
このような感じで、実験は終了しました。短い時間ではありましたが、科学を楽しむことを改めて感じましたし、一人ではなく、みんなで不思議を共有する楽しさも感じることができました。そして、言われたことだけではなく、あれこれと好奇心の赴くままに様々な方法で実験を楽しむ皆さんの姿が印象的でした。その好奇心は保育者としてとても大切なことであると常々塾長も言われております。また、子どもも同じように、あれこれと試してみたくなる存在です。大人にとって「それは違うのにな〜」と思うこともあるかもしれません。しかし、そんな子どもの好奇心に寛容になることも大切なことだなと思わされました。
(報告者 森口達也)
いつもの事ですが、今回はよりはしゃいでしまいました(笑)。見守っていただきありがとうございました。
子ども大人関係なく興味関心というのは分からなければわからないほどそそられるのだと思います。
保育においてに科学というカテゴリーはハードルが高いと感じていました。しかし、探求心こそが科学であると身をもって今回のセミナーで感じることが出来ました。身近にある不思議を不思議と思う事、それを子どもたちと楽しむ事それが保育における科学なのでしょうね。