『怒りのコントロール3』

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らんらん組(4歳児クラス)の子たち。ピーステーブルで興味深いやりとりを見せてくれました。

当事者が座っている二人(左の子以下左くん、右の子以下右くん)

当事者が座っている二人(左の子以下左くん、右の子以下右くん)

遊んでいる最中に左くんの口元に右くんの手がぶつかってしまったようで、痛かったことと、その思いを伝えるべく左くんが右くんをこの場所へ連れてきました。

見ている二人は仲裁役を果たします。

仲裁役の子「右くんが先ず最初にごめんねって言うんだよ」

仲裁役の子「右くんが先ず最初にごめんねって言うんだよ」

右くん「ごめんね」左くん「…」

右くん「ごめんね」左くん「…」

仲裁役の子「そう簡単には許せないとは思うけど…」

仲裁役の子「そう簡単には許せないとは思うけど…」

少しの沈黙。

マッサージ器具をくるくる

マッサージ器具をくるくる

右くんには悪気がなかったようで、中々許してくれない左くんのキゲンを伺うような雰囲気に。

仲裁役の子「左くんも謝りなよ」

仲裁役の子「左くんも謝りなよ」

この喧嘩が終わらないのは許してあげられない左くんにも原因があるのでは、という仲裁役の子の見解でしょうか。

少しの沈黙。仲裁役の子が動きます。

仲裁役の子「じゃあ、左くんはなんの気持ち?」

仲裁役の子「じゃあ、左くんはなんの気持ち?」

仲裁役の子「いま、泣いてる?」

仲裁役の子「いま、泣いてる?」

答えない左くん。

仲裁役の子「右くんはなんの気持ち?」

仲裁役の子「右くんはなんの気持ち?」

ここが秀逸でした。

(うれしい)

(うれしい)

仲裁役の子「うれしい…?なんでだよ笑」

仲裁役の子「うれしい…?なんでだよ笑」

仲裁役の子「喧嘩してんのになんで嬉しいんだよ笑」

右くんは解けた空気にほっとした様子。

その雰囲気につられて左くんが思わず感情表現パネルを覗き込みます。

その雰囲気につられて左くんが思わず感情表現パネルを覗き込みます。

仲裁役の子「(左くんは)悲しい気持ち?怒ってる気持ち?」

仲裁役の子「左くん、泣いてる?」

右くん「(左くんは)これ?」

右くん「(左くんは)これ?」

左くんにも笑顔が生まれ、けれども不本意に思わず場が和んでしまったことが許せない左くんはここからが苦労ですね。

右くん「(左くんの腕に触れて)ねえ」

右くん「(左くんの腕に触れて)ねえ」

右くん「左くん、これ?(おこってるを指差す)怒ってる?」

右くん「左くん、これ?(おこってるを指差す)怒ってる?」

右くん「ねぇ、これ?」

左くん「だから、そういうことじゃない!」

左くん「だから、そういうことじゃない!」

少し調子にのり過ぎてまた怒らせてしまいましたが、数分後、

「せっせせーのよいよいよい!」

「せっせせーのよいよいよい!」

仲直りできたようです。

ブログ『臥竜塾』2013年2月8日『怒りのコントロール3』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると塾長藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回の全文を読むことができます。)

つくづく私たちホモ・サピエンスは、相手をやっつけることでは生き延びてはこなかったのだということを確信します。また、子どもたちを見ると、そのような怒りのコントロールの力を持っていることも見ることができます。また、けんかをすることによって、怒りをコントロールする力を学んでいる気がします。赤ちゃんは、よく、物をとられて大声で泣いて、とった相手に怒りをぶちまけます。そんな時に、子どもはその評価を冷静にすることはできませんが、意外と執着せずに、さっさと違うことに目を向けます。そして、怒りを持ち続けることはしません。大人と違って、次の楽しいことに取り掛かるのです。

また、3歳以上になると、私の園に設置されている「ピーステーブル」という場所にいって話し合いをしています。その話し合いをしている姿を見ると、まず、そこまで行くまでに頭を冷やし、断固した態度で相手と対決しています。しかし、普段の生活で、それほどストレスがないのか、簡単に解決し、仲よく一緒に戻っていきます。たまに、自分で自分の気持ちの整理ができないときには、仲裁する子がいます。こんな時に、変に大人が仲裁に入ると、怒りが増大してしまうことがよくあります。大人は、集結しようとその怒りの原因を聞きだそうとしますが、子どもたちは、腹の立つことを思い出すたびに怒りが少しずつ積み重なっていくばかりです。そして、最後には大人の権力を持って、集結させてしまうのです。子どものけんかは、けがのない限りは、放っておけばいいのです。

喧嘩をしても、子どもたちのように仲直りができたら。子どもたちから学ぶことの大切さを改めて感じます。

(報告者 加藤恭平)

 

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