それぞれの方法で

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夕方保育の様子です。
夕方17時になるとにこにこ組(2歳)さんは0、1歳児組の部屋に合流して過ごします。
そんな時間での出来事です。

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2歳児同士の女の子なのですが、白服ちゃん(手前の女の子)とりんご服ちゃん(奥の女の子)がおもちゃの取り合いを始めました。
お互いにおもちゃを掴んで離さないそんな取り合いだったのですが、その結果、りんご服ちゃんがおもちゃを手にしたのですが、  白服ちゃんは泣いてしまい「かして〜」と諦めきれなかったのか、りんご服ちゃんに訴えていました。
そんな白服ちゃんの表情を見ていたりんご服ちゃん。
泣いている白服ちゃんにそっと「かしてって言ったらいいよ」と声をかけました。
すると白服ちゃんはすぐに泣き止み、言われた通りに「かして」とりんご服ちゃんに伝えました。

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「貸して」と言えた白服ちゃんにりんご服ちゃんからおもちゃが渡されました。

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嬉しそうな白服ちゃん。

そうなると、さっきの取り合いが嘘のようにりんご服ちゃんから白服ちゃんへおもちゃが渡りました。
おもちゃが渡ったことで白服ちゃんは嬉しそうでしたし、りんご服ちゃんも嫌そうな表情ではなく、どこか誇らしげな感じでした。
そして二人は分かて遊び始めるのですが、
しばらくすると白服ちゃんが、横になって遊んでいたりんご服ちゃんのところへ歩み寄ってきました。
そして、次の瞬間さっき、りんご服ちゃんに譲ってもらったおもちゃをぽんっ!と投げて、
そこにあった別のおもちゃを手にして去っていきました。

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りんご服ちゃんも嬉しそう

それを見ていたりんご服ちゃんは、すぐにそのおもちゃを手にして、嬉しそうに遊びはじめました。

塾長のブログでは、今、自制能力に関わるホットシステムとクールシステムの話が展開されています。
詳しくは塾長のブログを参考にしていただきたいのですが、ホットシステムとは
「反射的で、単純で、衝動的である反応や興奮、衝動的な行動」で
クールシステムはその反対で理性的なもの、見通しをもった行動という感じでしょうか。

そして、ブログの中で塾長は
「生まれながら持っているホットな行動が、次第に理性的にものを考え、見通しを立てるようになるということが、クールな認知的システムを獲得してくることだと思うのです」と言われています。

おもちゃの取り合いはホットシステムが作動している状況ではないでしょうか。
そんな中で、りんご服ちゃんは白服ちゃんに「貸して」といえば貸すよというクールシステム的な提案をします。
もしかするとりんご服ちゃんは、「私がここは引いた方がこの問題は解決する」とクールな思考をしたのかもしれません。
そして、次の展開で白服ちゃんがりんご服ちゃんが横になっているところに行き、取り合ったおもちゃを置いていきます。
もしかすると白服ちゃんは、少し落ちついたことでさっきのやりとりを振り返ったいたのかもしれません。

塾長の5月14日の「再評価」というタイトルのブログにはこう書かれたあります。
http://www.caguya.co.jp/blog_hoiku/archives/2016/05/再評価.html

「壁に止まったハエになったつもりで、距離を置いた視点から自分の気持ちやその理由を分析すると、問題の出来事をただ詳しく再現して、苦悩を再び呼び起こすのではなく、再評価し始めたそうです。その出来事を、より思慮深く、それほど情動的ではないかたちで眺めたので、つらい過去をうまく再解釈したり説明したりし、終止符を打つことができたのだったそうです」
白服ちゃんはまさに距離を置いた視点から自分を振り帰ったのかもしれません。そして、りんご服ちゃんもおもちゃで遊びたいのかもと思ったことが、そのような行動を生んだのかもしれません。

しかし、まだこの話には続きがありました。

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白服ちゃんは今度は違う子とおもちゃの取り合いを始めました。
次は、黄色服くんが持っていた車のおもちゃを貸してほしかったようで、白服ちゃんは「かして!!」と大きな声で訴えます。
黄色服くんも負けじと「やだよ!」と返します。

この「かして」「やだよ」のやりとりが、なかなかの音量でかつ、かなり長い時間続きました。
何かあってもいけないと、その様子を私は近くで見ていたのですが、
やりとりがかなり長く続いたので、私はそっと自分の体を横にどけて道を作ってみることにしました
(実は私がいることで、通り道が塞がれているような状態になったいたのです)。
すると、黄色服くんはその隙間を通って走りさっていきました(このまま続けても仕方ないと思ったのかもしれませんね)。
黄色服くんも、この終わりそうのないやりとりの解決策を考えていたのかもしれません。
黄色服くんが去った後、泣いてしまった白服ちゃん。
しばらく泣き続けていたのですが、だんだんと泣き声もおさまり、落ち着きを取り戻そうとしていました。

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そして、落ち着いて周りが見えるようになったのか、担任の先生が目に入った途端、その先生のところに駆け寄っていきました。       子どもたちは日々、保育園での生活の中でこのようにホットな体験をし、クールな解決策を見いだしているのかもしれません。担任の先生のところに行けば気持ちが落ち着くと考えたのもクールシステム的な思考なのかなと感じました。自分がどうしたら落ち着くのか考えたということでもあるのかもしれません。

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塾長も言われているようにまさにホットな体験がクールな思考の鍵になっているのではないでしょうか。こういった体験というのは同じような発達、少し先の発達、年下の子という子ども集団があるからこそうまれるものではないかなと思いました。気持ちを抑制する力は、このように集団によって獲得していくのかもしれませんね。

(報告者 森口達也)

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