「先生、できたよー。」
きれいですよね〜♪
らんらん組(4歳児クラス)の女の子が先日完成させた塗り絵です。
ここからが子ども達の楽しみなところで、その塗り絵を、
こんな風にして壁に飾ります。
塗った本人は大満足♪そしてなんとその絵を見本にしながら他の子も塗っていたりと、一つの塗り絵から様々なドラマが生まれています。
この塗り絵はわいわい組(3歳児クラス)の女の子が完成させました。
それを厚紙などの台紙に貼って、枠を切ってまた飾っていきます。
「はみ出さないで塗れたね。」
「次は帽子の色をかえてみたら?」
〝上手〟や〝下手〟〝すごいね〟など抽象的な言葉で無闇矢鱈に褒めるではなく、その子の作った作品に対して、ありのままに、真摯に言葉や提案を投げかける新宿せいが保育園が誇るベテランの先生です。
すると、
紫色一色で塗っていたこの子でしたが、
みるみる工夫を加えていっていました。
カメラを向けるこちら一切気にしない集中ぶり。
まさに〝ゾーン体験〟を彼女はしていたのでしょう。
11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2012年1月12日『ほめる育児』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。ぜひ読んで下さいね♪)
〝子どもが活動したときに、その活動の達成感を感じ、その活動をより深め、その活動を次の活動につなげていくためにはどのようなことばがけや対応がいいのでしょうか。その有効な手段として「ほめる」ということが言われてきました。しかし、「親たちが、子どもが容易にできることを完成した時に大げさにほめる行為は、子どもたちの自発的に努力するという意欲を失わせてしまう」と指摘されています。一部の専門家はその理由として、こどもは簡単にできることを完成しただけで褒められるのを嫌がるからだと分析しています。それは、自己主張が始まったころに、一生懸命に自己主張している子どもに対して「では、やってみたら?」ということばがけは、子どもにとっては、「聞き流された」と思ったり、「簡単にあしらわれた」と思ってしまいます。子どもたちが望んでいるのは、主張を聞き入れてもらうことではなく、真剣にことばのキャッチボールをしたいからだといわれています。簡単に「ほめる」ことは、同じように思ってしまうのでしょう。また、親のこのような間違った行為により、子どもが本来努力すべきことが長続きせず、真の成功を手に入れるにはどれほどの努力を費やせば初めて獲得できるかが分からなくなると指摘しています。
アメリカに「ハイスコープカリキュラム」という、子どもの自然な発達をもとにした教育的なアイディアと実践の開かれた枠組みが提案されています。このカリキュラムでは、子どもの活動において、計画、実行、再考を大切にしており、最後の再考は「振り返り」であり、次の活動への動機にもなる部分です。ですから、そのときの大人の働きかけ、ことばがけは重要になるのです。(中略)
子どもの話に耳を傾け、子どもの言いたい事を真剣に理解しようとし、そのことばのキャッチボールによって、子どもは新しい発見に気づき、新しい考えに取り組んでいこうとするのです。〟
無限に広がる子ども達の可能性を、保育者であれば誰もが伸ばしてあげたいと思いながら、後悔にも似た日々を過ごす人も少なくないことと思います。その中で、淡々と、子ども達に最良で、最善のアプローチをし続けるこの先生のような保育を見ると、何か心が洗われるような、新鮮な気持ちが芽生えるような、そんな気持ちになるのでした。
今日もこうして、
また一つ新たな作品が追加されていくのでした。
そして、
そんな日の帰りの会。
「先生はこの絵のこの部分が好き。」
「ここのところ、とっても細かく塗り分けてるね。とても時間がかかったと思うんだけど、がんばったね。」
そんな言葉をかけながら、一つずつ作品に触れていく先生。これは、まさに〝振り返り〟の部分であると思います。
塗り絵と子ども達を結び付け、明日の活動、明日の期待感へと結び付ける。見守る保育の提唱する〝5M〟の一つ、〝結び〟を体感させていただいたようなこの度の出来事でした。
(報告者 加藤恭平)