先週の報告にも上がっていたのでご存知の方もいると思いますが、3月の初めに成長展と言う行事がありました。
保育園の行事の看板はいつも学童クラブの子どもたちが作っています。(そんな機会もこれで最後と思うと寂しい気持ちでいっぱいなのですが、、。)今回は「共感」がテーマと言うことで、共感と名前のついた絵を見て、そこから看板のデザインを決めていきました。
決めたデザインの絵には二匹の象がいて、いろんな色がきれいに描かれているものでした。
このデザインが決まった時、私の中ではいろんな色がある=難しいというイメージでした。
なぜかというと、クレヨンにしても、絵の具にしても色が沢山混ざると、黒っぽいあまりきれいな色とは言えない色になってしまうからです。そこを混ざらないように、きれいな色のまま、沢山の色を使う。そのためには、看板を作る子みんながその事を知っていなければなりません。小学生は図工の時間もあり、さすがにその事を知っているかなと思う所もあったので、とりあえず何もいわず子ども達だけに任せてみました。
大きな看板だったので看板本体、大きな象、小さな象という3つにわけて色塗りに取り掛かりました。
初めは、一番塗る場所が多い看板本体。
元のテーマの絵が柔らかいタッチだったことから、スポンジを使って絵の具で色を塗ることになりました。
なんとなく色が混ざると、汚い色になってしまうということがみんな分かるのか、一度色をつけた所は、乾いてからまた色をつける様にしていました。これなら大丈夫そうだなとみていると、その後手を使って描いたり、型紙を使ったりと色々と工夫をしていました。
また、別の日に今度は大きな象の色塗りをしました。
今回も大丈夫だろうと、そのまま任せて、後で見るのを楽しみにしていました。
ですが、出来上がった作品はものの見事にどす黒く、しかも色を塗りすぎて破れかけているところもあるという様子でした。
もっと早く気付けばよかったのですが、前回やった時はほぼ3年生ばかりだったのが、今回は1年生中心で3年生もいたのですが、1年生の色々やってみたい熱気に押されてという感じでした。
やるだけやって満足した子はいなくなり、残された何人かの子「どーするの?」という空気とともに、その作品を見ていました。私自身も「やったなー」と思ったのですが、何も言わず、大きな紙をもう一枚渡してみました。すると、1人だけいた3年生が、「じゃあこの絵(元のデザイン画)を見ながら、誰がどこをやるかいうね」と、1年生に指示を出し始めました。
そんな様子に1年生もやる気を取り戻し、再び看板作りに取り掛かっていました。今度は前回の失敗をみんな経験していたこと、そして全体を見てくれる人がいることで格段にいい作品になりました。そしてうまくできたことに満足したのか、元のデザイン画をベースにしながらも、そこにキラキラのまつ毛を付けるなどよりいいものに仕上げていました。
「失敗した時、何も言わずにもう一度チャンスを上げること」は子どもたちのよい経験にもなり、また周りを引っ張っていかなければと思う気持ちも芽生えるチャンスになるのですね。看板作りはこれで最後ですが、また別の機会に試してみたいと思います。
(報告者 西田)
失敗をした本人は「失敗してしまった…」と後悔したり、悔しい気持ちを味わっていたりしますね。そんな時に、「もう一回やってみれば」という機会(チャンス)を与えられると「今度こそは!」と前回の失敗を活かして、なんとかしようと思いますね。失敗もまた大切な経験になってくるわけですが、そんな失敗が大切な経験であると思えるように、次の機会をしっかり提供できるような存在でいなければいけないなと思います。失敗したことを責めることは誰にでもできますし、責められてしまうと、もう次への意欲なんてなくなってしまいそうですね。「どうせ、また失敗するんだ」なんて思ってしまいそうです。そうなってほしくないような関わり方は、大切にしていきたいです。
これは、本当に素晴らしい作品ですよね!初めて見た時、まさか子ども達がつくったものとは思わず、しかしこんな素敵な作品をつくるのは誰だろう…と、とても考えたものでした。とても幻想的で、夢の中にいるかのような幸せそうな像の作品です。
この世に失敗はなく、「こうすると違うことがわかったから、それがわかっただけで成功」という考え方があります。それがわかっていないと、相手の挑戦した気持ちを頭ごなしに否定してしまうことになり兼ねないところを、学童の先輩は優しく次へと繋げてくれたのですね。大人でも難しい、人を育てる上で最良とも思えるような方法をこうもすんなりと行うのですから、本当に素晴らしいと思います。子ども達から学ぶことの大きさは、測りしれないものがありますね。