胸にでっかい誇りを掲げていこう!!!

 

先月頃から〝片付けチャンピオン〟という遊びを始めました。

先月頃から〝片付けチャンピオン〟という遊びを始めました。

ブロックゾーンにあるブロックをいくつ片付けられるかを競います。

最初の内は皆とても真面目に数字を数えていたのですが、賢い子ども達で1位になりたい気持ちから次第に数が700とか1000とかとんでもない数字を言うようになりました(笑)自己申告制なのでその辺りはご愛嬌ですね。

第一回優勝者です。嬉しそうですね。

第一回優勝者です。嬉しそうですね。

いつも片付けが億劫だったのですが(笑)幾分か喜んで片付けてくれるようになった気がして、とても助かっています。

ちなみにこの黒板(ホワイトボード笑)は、

ちなみにこの黒板(ホワイトボード笑)は、

生臥竜塾ブログ2016年6月2日『第2回塾セミナーワークショップ』にて本多先生が報告されています。(太字をクリックするとその回の全文を読むことができます。)その黒板で、

このチャンピオンベルトは、

このチャンピオンベルトは、

先日行われました夕涼み会のプロレスコーナーにあったものです。

リングにかかっていますね笑

リングにかかっていますね笑

この〝片付けチャンピオン〟という遊びをオリンピックイヤーにちなんで〝片付けオリンピック〟に改定しました。

数字がとんでもない数字になるにつれて子ども達から不平不満の声が出るようになってきた為(笑)ルールも改定し、〝その時ブロックゾーンにいた子達全員でチームになり、何秒で片付けられるかを競う〟というものにしました。

団体戦ですね。初日は基本となるタイムがない為、もちろん優勝です(笑)

第一回メダリスト達です。嬉しそうですね。

第一回メダリスト達です。嬉しそうですね。

初回は表彰式のBGMも流しました(笑)

片付けるブロックの多い日もあれば少ない日もありますし、参加する人数によってもタイムに違いが出るのは当然なのですが、そこにはまだ不平不満の声は出ておらず(笑)一生懸命やってくれるので嬉しくなります。

ちなみにこのメダルは、

先日行われました夕涼み会のオリンピックのコーナー用に、職員が木を彫って一生懸命作ってくれたものです。

先日行われました夕涼み会のオリンピックのコーナー用に、職員が木を彫って一生懸命作ってくれたものです。

毎日大活躍してくれています。素晴らしいものをつくっていただいて、本当に感謝です。

11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2012年10月3日『夕涼み会3』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝園でよく感じるのは、保育者は、いろいろな物をつくる能力とノウハウとセンスをたくさん持っていることです。個々場所の装飾など、センス良く、素敵につくることもできます。それなのに、どうしてか「保育室とは」、「子どもとは」ということにすりこみがあるようです。とても素敵なものが作れるのに、どうしても子どもだましのようなものが子どもにとって合っていると思い込んでいることがあります。私の園では、夕涼み会の装飾は、後期における室内装飾に応用することにしています。1日の行事のためだけに装飾したり、作り物をするのはもったいない話です。〟

子供騙しでない、真実の遊び。大人も夢中になって取り組むからこそ子ども達にもその魅力が伝わるのかもしれませんね。

リオオリンピックが無事閉会式を終え、いよいよ2020年に向けて日本中の期待が高まっていくことでしょう。日本国民の一人として、そして保育者の一人として、大いに応援していきたいと思います!

(報告者 加藤恭平)

 

 P.S 今回の夕涼み会では聖火台も用意されました。

P.S 今回の夕涼み会では聖火台も用意されました。

 

塾頭、西村先生の工夫です。これは本当にお見事!

塾頭、西村先生の工夫です。これは本当にお見事!

投扇興②

前回の報告からだいぶ間隔が空いてしまいましたが、投扇興をして楽しむことで色々と子どもたちが発展させていました。

 

遊びをするに当たってそれぞれの役割が自然とできていました。

投扇興を楽しむ子、扇子を投げたものを取って戻してくれる子、得点を見てそれぞれの子に得点をチェックしていく子と楽しんでいました。

「おっ!これは何点だ!?」と得点を見ていきます。

「おっ!これは何点だ!?」と得点を見ていきます。

そこで得点表を作っているところの様子を見に行くと上手に表を作っていました。

これは驚きです。どこで覚えたのかわかりませんが、真剣に取り組んでいます。

 

〇〇ちゃん、〇〇くんとそれぞれ縦に名前を書き、横に得点を書いています。

IMG_8841

その子の番が来るたびに得点を消して足しているのを見て少し表の書き方を伝えてみると「おー、そうか!」と嬉しそうな反応。

IMG_8843

自分でもいい方法はないかと模索していたのでじょうね。

 

さらに表の線がフリーハンドなため上手く横に線が書かれていませんでした。

 

そこに長めの定規を差し出してみるとその表を作っている子が「ん?」といった表情で使い始めました。

するとその子が、「じょうぎって便利!」と嬉しそうに言ってしました。

 

この一連の流れは当たり前のことかもしれませんが、遊びの中で様々なことを見つけ、考え、学んでいることがよくわかります。

 

塾長は「あー、雑巾の絞り方を誰だか忘れてしまったけど、教わったなー。のその誰かになりたい」ということをおっしゃっていたことを思い出します。

 

その誰かとは程遠いかもしれませんが、一緒に年長で過ごした子たちが少しでも環境の中から学んでくれていたら嬉しいと思います。

(報告者 本多悠里)

身長計

新年度が始まり一週間が過ぎました。

 

今年の個人的な目標はブログでも西村君が報告したように、

見学者がより見学しやすいように環境を設定することです。

 

まず塾長が行事の話しをされる時に、よく言われることがあります。

「装飾などで手が込んだ物を作る場合は、行事の為だけに作るのでなく、そのあとの保育にも活かせるような物を作るようにしなさい。」

おそらく多くの人が聞いたことがある言葉ではないでしょうか。

実際に塾長が私や西村君に行事の装飾を提案するときは、必ず行事が終わった後に、どこに飾るかなども提案してくれます。

去年度の成長展の看板を作る時もそうでした・・・。

12733509_520267754798716_6570787195754168680_n

これが去年度の成長展の看板です。

そして、この時に使ったアトム君は・・・

DSC_1280DSC_1279

ここにいます。

早速、子どもたちはアトムと背を比べていました。

中にはお父さんと・・・

DSC_1277

おそらく、こういう環境は当たり前かもしれませんし、

既に同じようなことを実践している保育園もあると思います。

 

その当たり前の実践を今年は大切にしていこうと思います。(報告者 山下祐)

 

魔女の実験③

紫キャベツを使った実験は、もう一つありました。

DSC_1258

魔女はキッチンでおもむろに中華麺を炒め始めました。

そこに、先ほど細かく切った紫キャベツをいれて、一緒に炒めました。

DSC_1260

まぁ、紫色に麺が変わるのを見せたいのかな?

と思ったら、違いました!

しばらく麺と紫キャベツを炒めていると・・・

DSC_1267

ちょっと色が薄いですが緑色っぽくなったのです。

これも、どうやらリトマス試験紙と同じ原理だそうです。

どうやら中華麺には「かんすい」という添加物が含まれています。

この「かんすい」というのは中華麺やなどの製造に使われるアルカリ塩水溶液で小麦粉に混ぜることで柔らかさや弾力性をもたせる働きがあるようです。

そして紫キャベツに含まれる「アントシアニン」は中性です。

赤色のリトマス紙が青色に変化したらアルカリ性でしたね。

まとめると・・・

紫キャベツから出た「アントシアニン」の中性の色素が中華麺に含まれるアルカリ性「かんすい」により緑色(青色)になったというわけです。

そして、さらに緑色の麺にレモンをかけると緑色の麺からキレイなピンク色に変わります。

子ども達は中華麺の色が変わるのを興味深々に見ていると思いきや、

「先生、これ食べれるの!?」

DSC_1268

と、どうやら色の変化より食べることに興味を持っているようです(笑)

魔女は緑色の中華麺に少し味付けして子どもたちに少しづつ配って、

子ども達は嬉しそうに食べていました・・・。

かたや中華麺を食べることに興味を示していると思いきた、ある男子は・・・

ひたすらレモンに色が変わった水をスポイトでかけていました。

DSC_1265

さすがに集中力もきれたのかな?と思って子ども達の様子を見ていましたが。

どうやら今年の年長さんは例年に比べると少し雰囲気というか、良い意味で変わっているのです。

例えば、3月に年長さんが「お別れ散歩」に上野の国立科学博物館に毎年行きます。

そこには動物、魚、植物、恐竜・・・といった数多くの展示があり、一日かけて見るくらいの量の展示があります。

だいたいの子どもは恐竜の化石や動物の剥製に興味を示しますが・・・

「あ!ミカヅキモだ!!」

今年の年長さんは「藻」に関心を抱いているようです(笑)

あとは菌を調べることができるスペースではある男の子は

「溶連菌はあるかな?」と調べたり、研究肌の子どもが多くいます。

毎年同行している塾長も普段は興味を示さない場所に興味を示しているので驚いたようです。

卒園式でも卒園証書をもらったあとに将来の夢を発表するのですが、多くの男の子は

「科学者」「研究者」と答えていました。

毎年カラーが違う学年というのは本当に面白いです。

だからこそ「個性」というのをしっかり伸ばしてあげたいと思います。

(報告者 山下祐)

魔女の実験②

次の実験は紫キャベツを使った実験です。

魔女はキャベツを適当な大きさに切り、沸騰したお湯の中にキャベツを入れ、暫くすると紫キャベツの色素のせいか、鍋の中が紫色に変色しました。

まぁ、これは何となく分かりますね。

DSC_1248

魔女は変色した水をコップに入れて各テーブルに配りました。

その時点で子ども達は興味深々に変色した水を見ていました。

DSC_1249

中には匂いを嗅ぐ子もいれば、指につけて舐めてみたり、とてもいい表情でした。

そして用意したレモンを切り、同じように配り魔女は

「いま配ったレモンを絞って、コップの中に入れみて」

DSC_1251

といい、子ども達が言われた通りにやると・・・。

DSC_1253

写真のように、濃い紫色からキレイなピンク色に変色したのです!

DSC_1254

これには、子ども達、全員

DSC_1255

「変わったぁ!」

「きれい!」

と反応していました。もちろん私もビックリです。

なぜ色が変わるのか、また調べてみました・・・。

紫キャベツには「アントシアニン」という色素が含まれていて、同じ様な色のブルーベリーにも含まれているそうです。これは天然色素であり、赤ワインに含まれているポリフェノールの一種です。

ちなみにポリフェノールは紫外線や外敵から身(実)を守る為に植物が作り出した色素です。

このアントシアニンは中性なので紫色をしているわけです。

ここでも小学校の理科を思い出してください。リトマス試験紙ってありましたね。

赤色と青色の二種類の細長い紙で、液体の性質を調べる試験紙です。

赤色の試験紙が青色に変わるとアルカリ性で、青色の試験紙が赤色になると酸性。

でしたね!思い出しましたか?

ですので、コップに入った紫キャベツの色素が出た水をリトマス試験紙と考えて、

レモンはご存知のとおり酸性です。そのレモンを入れることで、中性から酸性に変わった事で、紫色からキレイなピンク色(赤色)になったというわけです。

もちろん子ども達は、そんな細かい内容は知らなくてもいいわけですが、

まずは「なぜだろう?」「不思議だな!」という感想を持つことが重要です。

おそらく、この実験も小学校でリトマス試験紙を使った実験をした時に、もしかしたら思い出すかもしれませんね。

私は、今回のブログを書くにあたってネットでまずは、紫キャベツの性質を調べ、次にリトマス試験紙のことを調べたり・・・個人的に勉強になりました(笑)

息子がもう少し大きくなったら自宅でやってみようと思います(報告者 山下祐)

 

爽除

『よく、園で「子ども主体」ということは言われますが、では、「保育者は客体」なのかというとそれは違います。人と人との関係では、どちらかが主体でどちらかが客体であってはいけないのです。ですから、逆に「赤ちゃんは何も自分ではできない」からと言って、客体であってもいけないのです。』と、子どもも大人も、どちらも「主体」でなくてはならないと、塾長は説きます。

見守る保育10か条の中には、『保育者は、子どもに奉仕したり、面倒をみたりする人ではなく、一人の人格を持った人として子どもと共に生活すること。(保育者の人権)』があります。保育者も一人の人であり、人として守られなくてはならない存在であると、塾長は説きます。

保育士の仕事内容として、腰をかがめる機会が多いからであると思うのですが、「腰痛」には気をつけなくてはいけません。ドイツでは、オムツ交換台に階段が付いており、子どもが自ら登って保育者の腰への負担を軽減するような対策を取っていたりしました。また、ハイテーブルに座った乳児の間に、保育者はキャスターの付いた椅子に座って、気になることがあるとシャーっと椅子ごと滑らせて子どものそばまでいき、また颯爽とシャーっと戻っていく園もあったという話を聞きました。

そこで、こんな物を購入してみました。

IMG_7169

これは本来、農作業やガーデニングの際に使用する椅子です。腰への負担を軽減する目的として作られたと思いますが、これを保育園でも活用できるような気がしました。

1歳児クラスの食事終わりに、食べこぼしや食器を職員が片付けます。その際、必然的に腰をかがめたり、片膝を付きながら残飯を片付けるという状況ができます。そういった時、これを活用して、椅子に座りながら作業し、そして横へシャーっと移動する。腰への負担も減り、効率もあがるのではないでしょうか。そして何よりも、効果的であったことがあります。

それは、乗っていて「楽しい」、掃除が「楽しくなる」ということです。初めてクラスに持っていき、他の職員に試してもらうと「うわぁ〜!」「これ楽しいぃ〜!」とアトラクション気分です。それに乗って移動している時には、爽やかな風が顔を包み、自然と笑みがこぼれてきます。まさに、爽やかに取り除くという『爽除』であります。掃除を楽しみながらしている保育園、というのも面白いですね。

IMG_7196

話は少々ずれますが、掃除からも保育ができるという話を聞いたことがあります。今の時期、それを顕著に感じることができると思います。それは、食べこぼしの量です。4月当初と比べると、格段に少なくなりました。また、食べこぼしの量を見て、その子どもの姿勢や食べ方(フォークとスプーンの使い方)、または食への興味なども把握できると思いますし、そこからスプーンやフォークを遊びに取り入れたり等の「保育」が生まれます。たかが掃除であっても、楽しみながらそういった保育ができればいいですね。

(報告者 小松崎高司)

魔女の実験①

新宿せいが保育園の「すいすい番」の話しです。

すいすい番に関してはご存知の方も多いと思いますが、一応、改めて簡単に説明をさせていただきます。

「すいすい」とは年長組の名前です。お昼寝の時間にクラス担任ではない、ほかのクラスの先生が年長さんと1時間ほど一緒に過ごします。活動内容は基本的に任された先生が自由に使っていいので、散歩に行く先生もいれば、製作をする先生もいます。ちなみに私は職員室チームは毎年クッキングを行っており、何回かこのブログで紹介させてもらっています。

さていつも通り食事スペースの掃除を終えると調理の先生が何やら食材を持ってきました。どうやらこの日の「すいすい番」の担当は調理の先生です。

お盆の上に写真のような食材がのっていました・・・。

DSC_1237

特に食材が統一されていないので、クッキングをする感じではないので、ちょっと見ることにしました。

担当の先生がやってきました。

第一声が・・・

「みんなも知っているように、先生は魔女です」

DSC_1238

どうやら魔女の設定です(笑)と言うのも彼女はハロウィンの時に仮装をするのですが、決まって魔女の格好をするので、子ども達は彼女の言葉に素直に受け入れていました。

そう言いながら大根、玉ねぎ、カブ、ジャガイモ、豆腐を包丁で適当な大きさに切り、そして食パン、ヨーグルト、白米を各テーブルに配りました。そして・・・

DSC_1240

「この魔法の液を配った野菜などにかけてみてください」

といい子ども達は順番にテーブルに置かれた食材に茶褐色の液をかけ始めました・・・。

DSC_1241

すると

こんな結果になりました。

DSC_1242

そのままの色もあれば、黒色になった物もありますね。

もう少し分かりやすく分類してみると・・・。

DSC_1245

おそらく理科が好きな人はすぐにピンとくるでしょうね。

私はもちろん分かりませんでした。

給食の時間に「3大栄養素表」を使って子ども達に今日の給食に使われている食材がどこに分類されるか、フェルトで作った食材を赤、黄、緑に分けてもらう活動をしていますが、そこに繋がります。

黒く変わった食パン、ジャガイモ、白米は黄色の分類で炭水化物です。

なぜ茶褐色の液体の色が変わったかというと、食パン、ジャガイモ、白米に含まれる「でんぷん」に反応し色が変化したのです。もっと詳しくいうと、写真では少し分かりにくかったかもしれませんが、青紫色に変化したのです。

そして液体の正体は「うがい薬」です。うがい薬にはポピドンヨードという、ヨウ素を含む複合体を含んでいるそうです。また、うがい薬は意外と濃度が濃いので、反応が本来は青紫ですが、濃いので写真のように黒になってしまうそうです。

私は1つのグループに入って一緒に実験をしていましたが、子ども達よりも興味深々になって見ていました。

言ってしまえば小学校で学ぶ内容なので難しいのかもしれませんが、「体験」という意味では非常にいい体験だったと思います。おそらく、子ども達が今後、小学校で似たような実験をしたときに、この日にことを思い出し、「調理の先生はこれを私たちに伝えたかったんだ・・・」と思い出してくれるのではないでしょうか・・・。

私はそんな風に子ども達に保育園の事を思い出して欲しいと思います・・・。

そして魔女による次の実験に移ります・・・。(報告者 山下祐)

 

メリハリ空間

ストレスを発散する方法として最も効果があるのは、「心身ともに疲れを癒すこと」だそうです。それは大人だけに限らず、子どもも同じであると思います。塾長ブログ「臥竜塾」の『癒し空間(ドイツ事後報告)』には、こう書かれていました。

 

『子どもたちも園の中で、大きな集団、大きな部屋で、いつも大人に見られ、管理され、言われたとおりに動かされ、かなりストレスを感じているでしょう。ですから、癒される時間、空間、物を用意してあげる必要があります。ひとつの方法として、日常の環境を変えることがあります。小さな集団、狭い部屋、大人に見られない、自分から行動できる時間の設定です。そのために「ロフト」が有効であるということを昨日のブログで書きました。そのほかに、ドイツでは様々な工夫がありました。小さな集団で、過ごせるような空間を部屋の隅に作るのです。いわば「癒しのコーナー」というようなものがどの園でも、どの部屋にも作られていました。部屋が広いということもあるのですが、逆に広いからこそこのような空間が必要なのでしょう。』

外部からの刺激を受けて、生体に起こる反応を「ストレス」というとのことで、そのストレスには必要なストレスとそうでないストレスがあるように感じます。社会性を育む上での必要なストレス以外のストレスは、出来る限り避けなくてはならず、環境を通して子ども自らでストレスを溜めない方法を身につけさせることも大切です。

また、それは「メリハリ」ということでもあります。気持ちを発散する空間と内部に収める空間、明るい空間と薄暗い空間、刺激ある音や言葉が多い空間と静かな空間、陰と陽、ケとハレ、など、様々なメリハリをつけることによって暮らしを豊かにさせる効果があるようです。

そこで、1歳児の部屋にも、そのようなメリハリの空間をということで、押し入れ部分を改装し、そのような空間を作りました。

DSC_0162 DSC_0169 DSC_0174 IMG_6764床には柔らかいウレタン素材のマットを敷き詰め、クッションや寝そべることができるマット、薄い布で天井を覆い、やわらかい電飾をつけました。他の職員は、クッションを購入してきてくれたり、家で使わなくなった光の玩具も持ってきてくれました。その日は、土曜日であったので作業をしている様子を見ていた3・4・5歳児の子どもたちが、動のスペースで走り回っていました。完成したので「入って良いよ」と伝えると、その中では座り込んで声は小さくなり、自然と“お家ごっこ”が始まっていました。

1歳児でも、自分で気持ちのコントロールが難しくなってしまった子どもを誘って一緒に入ったり、メリハリをつけたい時に開放して試している段階です。1歳児は、薄暗い空間に入ると逆にテンションがあがってしまうという子どももいて、癒しの音楽を流したり、明るさを調節したりと工夫しています。今後も、子どもたちにあったメリハリ空間の一つとして活用できればと考えています。

(報告者 小松崎高司)

板氷②

前回の報告には、じつはまだ続きがあるのです。

あの氷のあとに、また西村君が4階に行き、何やら作業を始めたのです。

そもそもあの氷の出所ですが、4階に私達が作業中だった、よく工事現場にあるセメントなどをこねるための大きな箱(トロ船と言うそうです)に水が溜まっており、それが凍って出来たのです。

そのトロ船にまた水を入れ始めました。

DSC_1154

「また作るの??」

「そうですよ、次は少し工夫して・・・」

どうやら次の板氷は只者ではないようです(笑)

何をするのか見ていると。

1455347790985

そうなんです。トロ船に水を入れた後に花弁を散らしたのです。

「これで凍ったら綺麗ですよね!」

「確かに!これは綺麗な氷ができるかも!」

そして・・・次の日。

2人で楽しみに見に行くと

1455347793319

少し花弁が偏ったけどもちゃんと固まってました!

それを前回同様、子ども達に見せに行きました。

子ども達の反応も上々!!興味深々に氷を見ていました。

1455347798715

一回目の実践を活かして、二回目は工夫をして同じ物を子ども達に見せない・・・。

さすがですね!私は思いつきませんでした。

自然の力を借りて子ども達に科学への興味を引き出す。

まさに「共生と貢献」です。

自然という大きな力と人間の知恵を共に合わせて

子ども達に自然界へ興味を示し貢献する。

西村くん本人はどこまで理解しているのか分かりませんが(笑)

何よりも子ども達を楽しめせようという気持ちが自然と理念に向かっています。

本来、理念というのはそういうモノなのかもしれません。(報告者 山下祐)

気遣いタッチ

先日、先輩保育士から、日常の中で発達別に同じような場面を設定し「察する力」「対人知性」の姿を撮りたいということで、1歳児クラスでもその場面を設定し、記録してみることになりました。

〈検証1〉

1歳児クラスの中に、よく棚から玩具箱を落として玩具を散乱させる子どもがいます。その子はその後どのような姿をみせるのか、周囲の子どもたちはどのような反応をみせるのか、その一部始終を動画におさめ、子どもたちの対人知性をそこから感じようとしました。

まず、録画ボタンを押して記録をスタート。

スクリーンショット 2016-02-21 13.57.02よく玩具箱を落とす子どもに棚の前に来てもらい、箱を出してと促します。すると、案の定、「ガッシャーン!」と玩具箱が落とされました。その瞬間、周囲の空気が一変し、静寂が訪れます。面白いですね。

スクリーンショット 2016-02-21 13.57.24大きな音に反応しながら、その落としてしまった子どもの動向をうかがっているようです。落としてしまった本人は、周囲からの視線に気づき、なんとなく気まずくなったのか、「うぇ〜ん…」という泣き声を発します。しかし、次の瞬間泣き止んでいました。まるで、自分は反省しているよと瞬間的に周囲の人々に伝えているような感じでした。

スクリーンショット 2016-02-21 13.57.43次に、周囲の子どもたちはというと、近くの子どもや大人の表情をうかがっていました。そして、行動的な子どもの一人が散乱された玩具の元へやってきて、玩具を片付け始めます。その姿を見た別の子どもたちも一人、二人、三人…とやってきて、手伝い始めました。

スクリーンショット 2016-02-21 13.58.41

子どもたちが自ら「協力」しようとする姿が、伝わってきます。

 

〈検証2〉

まず、子どもたちが遊んでいる時、職員が「痛ーい!」と言って手を押さえます。

スクリーンショット 2016-02-21 13.58.57そのとき、検証1でもあった、あの空気感が周囲に漂います。もとから赤ペンでティッシュに色を付け、怪我したことを装う準備をしていました。「痛ーい!」という声が聞こえてきたとき、子どもたちは数秒身動きを止めていました。次に、ある子が「どうしたのー?」と近づいてきました。その姿を見て、別の子どもたちも集まってきて職員を取り囲み、痛がっている原因を探ります。

スクリーンショット 2016-02-21 13.59.22「ここいたいのー?」と心配そうに体をかがめて職員の動向をうかがっています。職員はというと、傷口に絆創膏を貼り、まだ痛がっています。

しばらくして、職員は「痛いけど大丈夫だよ」という表情を浮かべます。子どもたちは、少し安心した表情を浮かべます。そして、元気になったよと伝えるため、近くにやってきた子どもたちに“両手ハイタッチ”をしようと促します。両手を広げて「タッチ!タッチ!」と言ってくる職員に、始めは戸惑っていた子どもたちでしたが、ある子が反応します。どう反応したかというと、両手タッチではなく、怪我している手(右手)ではない逆の手(左手)だけにタッチをしたのです。

スクリーンショット 2016-02-21 13.59.35しかも、普段よりも優しくです。他の子たちにも「タッチ」と言うと、近くにいた全ての子どもが、手を出している職員の表情をうかがいながら、怪我に配慮した“気遣いタッチ”を行ったのです。1歳児であっても、こんなことができるのですね。

スクリーンショット 2016-02-21 13.59.49 スクリーンショット 2016-02-21 14.00.01 スクリーンショット 2016-02-21 14.00.24

これらの検証で感じた事は、こんなに幼い子どもであっても“他者のための自分であろうとする”ということです。相手の表情や仕草をヒントに、社会的な行為として実践しています。半年前、ブログの「研究発表」のなかで、『片付けという遊び』を報告させて頂きました。

それは、子どもが玩具箱を「ガッシャーン」と落とし、散乱させた後の片付けも一つの遊びと提供できるような環境の提案として書きました。言うなれば、その対象は子ども「一人」でした。しかし、その時期から様々な部分が発達し、今の子どもたちがいます。この時期には、「一人」よりも他の子どもたちが反応を示し、手伝ってくれます。それは、大きな変化です。

それと同じように、数ヶ月前と同じように見える遊びや関わりであっても、感じていること・考えていることは異なっているのだと感じました。また、その子を見ている他児自身の見方も変わっているわけで、子どもたちの“目には見えないベクトル”が縦横無尽に飛び交い、それらが交錯し合う頻度が確実に高くなっています。それはまさに、子ども自ら行おうとする「2歳児クラスへの移行」であるようにも思いました。

(報告者 小松崎高司)