(アドバイス)
園での実践で「文字遊び」というものがありました。これは、就学前教育としては非常に有効的なものです。
小学校に行ってから子どもたちは初めて学ぶ文字は「ひらがな」です。日本で使われる文字は、「ひらがな」のほかに「カタカナ」「漢字」があります。漢字は、意味をあらわしている文字「表意文字」で、ひらがな、カタカナは音を表している「表音文字」です。子どもたちは、文字からそのものを理解するのには、漢字が一番すぐれています。たとえば、体を表す漢字の「口」「目」「鼻」「耳」などは、その形からできています。
その点、音を表す文字は、そのものは表してはいません。音を組み合わせてそのものを表す言葉になります。そして、1音に1文字を当てはめていきます。「車」を表すには、その音である「くるま」の「く」という音と「る」と「ま」という音に分けてそれぞれの音に1文字ずつあてはめて言葉を作ります。
そのために、言葉を文字であらわそうとするときには、まず、その言葉を音節に分解することをしなけれななりません。小学校に入学すると、まず、この音節分解を練習します。言葉の横に・をつけて「くるま」を「・・・」と3音節に分けます。それは、言葉を発しながら手を叩くとか、言葉の横にドットをつけるとかします。
これは、とても大切な文字を学ぶときの導入ですが、実際は、小学校ではここのところはそれほど丁寧に扱いません。そこで、就学前に遊びの中からそれを子供たちに体験させておく必要があります。遊びとしては、「しりとり」「カルタ取り」などは、音節分解をする遊びです。
それは、もう少し進めたものが、紹介した「文字遊び」なのです。絵に書かれてあるものの音節分解し、いくつの音節に分けられるかを考え、その1音ずつにひらがなを当てはめていく遊びです。(藤森)
表意文字、表音文字、音節分解と覚えておきたい言葉がたくさんありました。就学前に文字を学ぶ導入を遊びの中で体験できるような機会を作っておくことは大切ですね。それはただ、字を書かせて覚えさせるということではなく、「自らが体験しながら」という工夫が大切ですね。教えるのは簡単ですが、体験してもらいながら自然と感じることは難しいですが、それがとても大切ですね。
読み進めながら、とても藤森先生の文体に似ているし、藤森先生著書の『こくごのはじまり』をとても理解されているようだなぁと思いながら読んでいたら、藤森先生が書かれているではないですか。驚きました。
先日の職員研修でこのことと関連した内容の研修が園で行われました。漢字が子どもとしては一番想像力が膨らみ、それが何かと理解できるものということを初めて知り、大変勉強になりました。子どもの目から見れば漢字も絵のように見えるのかもしれませんね。