ゴー・ビトゥイーンズ展①

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以前、「えつこん」という題で、日常にとけ込むような、目には見えない心の中で作り出される、子どもが描く物語や独特の世界について触れましたが、その、子ども“独特の世界”はどのような過程で生まれるのでしょうか。大人・子ども・社会・現実など、自分の目に映るものをどう捉え、それをどう読み取っているのでしょうか。

 

 夏休みを利用して、現在、森美術館で開催されている【ゴー・ビトゥイーンズ展:こどもを通して見る世界】に行ってきました。テーマは『異なる文化、現実と想像、大人と子ども、
あらゆる境界を行き来する子どもたちが放つ「生きるちから」』です。そこで感じたことを報告していきたいと思います。

 

〈自由と孤独の世界〉

 子どもは、何かをしている時や友だちと遊んでいる姿以外にも、ふと遠くを見つめ、物思いにふけっているようなひとりの時間も存在していることがあります。また、大勢で居ながらも、ひとりを感じる瞬間もあります。大人から見ると「何かを考えている・感じている」ようにも見えます。その姿を、この展示会ではこう表現しています。

 『子どもが過ごすひとりの時間には、寂しさや不安、頼りなさが漂います。同時にそこには、誰にも侵されない充実した経験や、ひそかな主張や、空間に浸るひとときがうまれます。ときに身勝手な大人の論理に翻弄されながらも、孤独の中に自由を獲得する子どもたちの姿に、未来へと向かうたくましさとしなやかさを見出すことができます。』

 この文から、大人だけが“自分を見つめている”のではないことが想像できます。子どもであっても、自らの経験や主張、それが生み出される空間に浸ることで、自らの中のある自由を見つけようとしているのです。大人は、どうしても形や言葉にこだわる気がします。時に、それを強制してしまうことも、自分の成果として分かりやすくしてしまうこともあるでしょう。しかし、子どもはひとりでも自由を獲得しようとしていることが読み取れます。自らの力で生きていこうとする思いが、展示写真からも伝わってきました。

 

〈文化を超えて〉

 子どもは、生まれたところの環境に順応していきます。その場所の文化・言葉・風習など、多くのことを吸収して、その場の環境を受け入れ、自分にできることを探していきます。では、生まれた場所でなくても、全てを受け入れていくことはできるのでしょうか。

 『移民や国際養子縁組などのさまざまな状況を背景に、祖先の住んだ土地を離れ、新たな場所で暮らす子どもたちがいます。時代の荒波に飲み込まれそうになりながらもたくましく生きる姿や、家族の中で代々受け継がれる文化とそれが変容しているさまを通して、多様な文化を生きる子どもたちについて考えます。』と説明されていました。

 そこには、文化を超えた場所での生活を受け入れ、新しい家族と仲睦まじい姿でいる姿の写真がありました。子どもが望んでいないのに、そうしなければならない状況になってしまうこともあります。子どもは、大人や社会の流れに従うだけです。しかし、そんな状況下であっても、子どもはその中から自分の居場所を探し求め、順応しようとするのです。目に映る状況に合わせ、自らの世界を作り上げようとする姿に、大人以上のたくましさを感じました。

 つづく…

(投稿者 小松崎高司)

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ゴー・ビトゥイーンズ展①」への2件のフィードバック

  1. とてもおもしろそうなイベントが開催されているのですね。興味津々です。なかなか足を運ぶことができないので、イベントの報告をしっかり読ませていただこうと思います。「自由と孤独の世界」とありました。大人が思っていることを子どもに当てはめるのではなく、子どもが思っていることを大人が想像することの大切さを感じました。大人から見るとどうしてそんな行動をとるのだろうと思う子どもの姿があります。それを手に負えないや、いけないことというように消極的に考えるのではなく、その行動の理由を考えるという姿勢が大切ですね。一緒に生活している同士という感覚は忘れてはいけないように思います。

  2. 子どもは本当にすごいですね。多くの芸術家もどこかで子どもを描くように思います。子どもは生きているその姿だけで、人を感動させる力を持ち合わせているようです。
    自分の子どもが少しずつ歩けるようになってきています。理解できることが増えて、前に読んだ絵本が、以前よりもぐっと内容がわかっていることがその反応や仕草から伺えます。
    子どもを通して僕が成長をしています。子どもの在り方や成長を通して人は自分を見つめ直し、成長をしてきたことを、子どもの姿から感じられるような、素敵なイベントですね。次の報告も楽しみです。

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